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美しい花の記録(SC2020 Spring参戦記)その二

"ある事柄についての偏愛や執着の強度が、幻想的な様相を誘導する。"
"姿よい形が、必ずしも優れた形であるとはかぎらない。姿わるい形が、必ずしも劣った形であるとはかぎらない。大切なのは、いろいろな寸法において、いろいろな形が次々と出現してくることである。"
『集落の教え 100』原広司

サンシャインクリエイション2020 Spring
参戦記 その二 アウトプット+製本編

前回:インプット編

十分な入力を得たとはとても言えませんが、アウトプットです。どうせ十分などないのだ。

しました。noteでも一次をいくつかやりました。

姫には厳しい時代(逆噴射小説大賞2019)
チューン・ネームド(パルプアドベントカレンダー2019)
かけがえないあなたと(1200文字のスペースオペラ)

さて次は同人誌の製本、頒布です。

製本編

このイベント本当にやるんですか? 何も分からない。

以前の筆者であれば二次創作をネットに放流することで満足していたのですが、今回は事情が違いました。
まず一次作品である『ガールズ ラジオ デイズ』の注目度が、その溢れる特異性に反して(そしてそれを理由の一つとして)著しく低いこと。必然的に物理媒体で頒布される二次創作作品もごく少数であること。公式が展開しているグッズさえもそう多くないこと。何より完全リアルタイムで進行する形式ゆえに、物語の間隙=身勝手な二次創作の余地が事実上無限に発生すること。
また筆者個人が2019年以降、同人誌および即売会に触れる機会を多く得たことも一因です。特に遊行剣禅さん桃之字さんによるnote連載作の物理書籍化行為は、「製本楽しそうだし、小説はやっぱり縦書きの冊子で読むのが快適だな……」という感覚を再認識する契機にもなりました。両氏は同人誌の製本手順も記事にされています。いつもお世話になっております。

ところで、筆者はサンクリへの参加を申し込んだ時点ですでにヘッズ一次創作SFアンソロジー(2020/5/24「関西コミティア58」頒布予定)、ガルラジ合同本(2020/5/2~5「コミックマーケット98」頒布予定)の末席に加わっていました。にも拘らず、それだけに飽き足らず、という無謀な形です。偶然にも三つの締め切りが二週間に集中することにもなりました。アホの極み。まあ短編、短編、既出作のまとめと加筆なら大した作業量でもないやろ……という甘い考えが大きな過ちで……とはならず、さすがに作業時間を去年から取っていただけあって実際なんとかなりました。ヨカッタネ! 今は物足りない日々を送っています。

以下は今回の製本作業における作業環境、留意点などの記録です。基本的には筆者が次の機会に見直すための備忘録ですが、これから荒野に向かうお前を助ける手記の一つにもなれば良いと思います。マネーの話とかも軽くします。不快な人は目を瞑って読んでください。

 作業環境
メイン機:dynabook N514 21K/TOSHIBA(古いのに頑張っている)
サブ機:YogaBook/Lenovo(筆者の過酷な陸海空移動に付き合わされ後にモノリス化)→pomera DM200/KING JIM
カメラ:DMC-TZ70/Panasonic
ソフト
 本文:Word2013、メモ帳、Scrapbox、Google ドライブ
 表紙:FireAlpaca

 流れ
本文編集はword、表紙作成はFireAlpacaを使用しました。wordは元々入れていたため、FireAlpacaは商用可能のフリーペイントツールで、こちらも使用経験があっての採用です。基本的にはイラスト作成向きのソフトですが、マウスでの画像加工や文字入れも十分に行えます。たぶんもっと丁度良い手段はあるんですが、とりあえず手持ちでやってみようというところですね。

若干脱線しますが、並行参加したヘッズアンソロ、ガルラジ合同本はそれぞれ提出のレギュレーションが異なりました。ヘッズアンソロは印刷サイズとページ数のみ指定があり、字数や体裁は参加者次第、提出もPDFでの完全原稿。一方のガルラジ合同誌は最大字数のみ指定で、提出はtxtでOK。多様性とかそういうなにか……。

さて個人本です。今回お願いしたのは印刷所るるる様。理由はpixivのこれ(どのくらい当てになるのかは分からない)で見比べる限り安そうだったことと、印刷プランを選びやすかったこと、そしてword(本文)、PSD(表紙画像)のテンプレートが配布されていたこと。楽したいよな、ペペ。入稿はPDFだったので感覚的にはヘッズアンソロと近いですね。

 本文
このようなテンプレートがあり、

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メモ帳で書式ロンダリングした本文を、こう。

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完成です。さすがに楽。とはいえせっかくなら本っぽくしたくなるので、目次や字間、気持ちばかりの体裁を整えました。以下はとても参考にしたページ。

フォントも基本のMS明朝から変えようかと思いましたが、一冊目ということでどんな風に出るのか試したく、特にいじらず。ヘッズアンソロの方は「Noto Sans CJK JP」にしてみたので後日見比べる予定です。無断商用不可のフォントも当然あるので気をつけましょう。

ワードはPDFに直接変換できるのも楽です。「――」とか縦にした「!?」とかで齟齬が出ることもありますが、手順を検索して良い感じに。フォントを変えるとこの辺の手間が増えます。増えました。

 表紙
このようなテンプレート(本文のページ数=幅に合うものを印刷所様のページで算出、今回は8mm)があり、

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手持ちの写真と字を入れて、こう。

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売れないバンドのCDジャケット。しまなみ海道のどこかで撮った画像は本編と関係ないので入れ替え、構図は大好きな漫画コトノバドライブをパクり、こう。

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表紙側のフォントはGD-高速道路ゴシックJA。商用可、DL無料。一次作品からの文脈採用ですが、それはそれとして可愛くて良いですね。
使用画像はEXPASA富士川近辺で撮影したパノラマ写真と、nishiさんから頂戴し写真使用をも快諾していただいた"カフェばんライター"。超絶クオリティのグッズを携えサンクリにも出展されるため、当日はガルラジ島が形成されることになります。大人気コンテンツなのでは?

そしてPDFに。FireAlpacaでは直接変換できませんが、検索すればその手のページはいくらでも。

あとは印刷所様指定の形にまとめて入稿です。お疲れさまでした。



こんな感じ。感想は「続けられる人は根性がすごい。商業に乗せられる人はマジでヤバい」です。

次回はイベント会場での実践編。部数の話とかもするのでイベント後に書きます。繰り返しますが時勢が時勢なので本当に無理に来ないでほしくて、でも来てもらえたら頑張って喜びます。以上です。

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