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「かちかち山」が超怖い

「かちかち山」ご存知ですか?
昔話の「かちかち山」です。

知らない人に簡単に説明をすると、

「悪いたぬきにばあさんを食べられてしまった悲しみに暮れるじいさんのために、うさぎがたぬきをやっつける」

という話です。

「ああ、よくある勧善懲悪な話ね」

と思いますよね?

あえて言いましょう。

甘いです。

そんな単純な話じゃないんだ「かちかち山」は。

めちゃくちゃ怖いですよ「かちかち山」。

その恐ろしさを1つずつお伝えしていきます。

1. 登場人物、皆バイオレンス

登場人物は

じいさま
ばあさま
うさぎ
たぬき

です。

登場人物だけ聞くと、
「カールのCMかな?」
または
「きのこの山、たけのこの里のCMかな?」
って思うくらいのどかですよね。

ダメです。
「のどかだー」
なんて思ってたら命持ってかれますよ。
気をつけてください。

まず、じいさまから見ていきましょう。
じいさまは、畑を荒らしたたぬきを捕まえて、

こんやは たぬきじるの ごちそうじゃ

って言います。

いくら畑荒らしたからって食べる?

そもそもたぬきって食べられるの?

なんかもう、じいさま、復讐の鬼と化してない?

食欲じゃないでしょそれ?

どう考えても手近にいるうさぎのが美味しいと思う。

食べることなくない?

めっちゃ怖い。

次はたぬき。

たぬきのやることなすことめっちゃ怖い。

順を追って見ていきましょう。

たぬき、畑荒らす

じいさまに捕まり、縛り上げられる

ばあさまを出し抜き杵でばあさまを叩き殺す

ばあさまを鍋に入れて煮込む

ガツガツ食べる

鍋にばあさまの骨をセッティング

たぬき、ばあさまに化ける

じいさまに鍋の蓋をあけさせる

鍋の中の骨を見せ、ショックを与える

な・・・なんなんだ!!!
この残酷さは!!!

やり方が手が込んでいるし趣味が悪いしゲスすぎて吐き気がするほど悪いやつだ!!!

弱肉強食とかそういう問題でなく、ヤツはじいさまを絶望させるためなら手段を選ばない。

こわい。
めっちゃこわい。

次にうさぎ。

普段、野菜を分けてくれるじいさまのためにたぬきに仕返しをするのだが、容赦なさすぎて怖い。

たぬきに萱を担がせる

たぬきが背負った萱に着火

たぬきの背中に大火傷を負わせる

たぬきの火傷に辛子味噌を塗りたくる

たぬきを泥舟に乗せ、溺死させる

「オマエ、コロスマデ、ワシ、ユルサナイ」感がすごい。

いくら復讐だとしてもめっちゃ怖い。

しかも一思い殺すのではなく、何段階かに分けて痛い思いをさせてからの溺死。

怖い。

言い忘れたけど、ばあさまもたぬきじるを楽しみにしてるとこが怖い。

2. 台詞が怖い

続いて台詞がめっちゃ怖い。
じいさまが畑仕事をしながら

ひとつぶが せんつぶ ふたつぶが まんつぶ あきに なるのを まちかねる

と豊作を祈る歌を歌っていると、すかさずたぬきが

ひとつぶは ひとつぶのまんまよ ふたつぶも ふたつぶのまんまよ あきにゃ、じいさん ばあさん うえて しぬだぁ

と呪いの歌を歌い出します。

ちょ・・・
「しぬだぁ」
はないでしょうが!
「しぬだぁ」
は!!!

教育を受けていないのかこのたぬきは!

「おっぱいのんでねんねして だっこして おんぶして またあした」
でお馴染みのげんこつ山のたぬきさんとは違う山のたぬきに違いない。

「げんこつ」なんていう生易しい山ではない。

妖刀村正山かエクスカリバー山出身に違いない。

愛情を受けないとこうなるのか。

「おっぱい?ドブの水の味しかしらねえよ俺は」

なんて言うのだろうか。

「だっこしておんぶしてやった妹は明日を迎えることができなかった・・・。そんな生活してたんだ。ばあさまがいるお前には想像もつかないだろうがな」

背中をむけたままこんなことを語り出すのではないだろうか。

このたぬきに必要なのはバックハグとかでしょうか。

そんなことを考えてしまう。

・・・いや、私にはキレたナイフみたいなたぬきにそんなことできる自信がない・・・。

同情心を煽って何かを企んでいるのかもしれない・・・などと妄想が膨らんで弾けて死んでしまいそうだ。

それから、私がこの作中で最も残酷だと思う台詞を吐くのもこのたぬきだ。

ばあさまがたぬきに食われたと知らずにばあさまを探すじいさまに対して、たぬきはこう言い放つのだ。

ばあさんは、わしのおくばに ひっかかって ないてるだぁ

!!!!!!!

こんな残酷な台詞を私はいままで聞いたことがない!!!

ディオの

お前は今までに食べたパンの枚数を覚えているのか

の方がまだ優しく聞こえる。

(何を言っているかよく分からない方は、『ジョジョの奇妙な冒険 ディオ パン』でググってみてください)

「ばあさんは わしがくってやったわい」

とか、

「ばあさんなら げんきにしておったぞ わしが たたきころす まえまではな!」

ではたぬきの残酷さが足りない。

「わしのおくばに ひっかかって ないてる」

でようやく究極の悪となる。

うさぎの復讐の一つ一つを見ていくと残虐極まりないが、「たぬき、かわいそう」とならないのは、たぬきのこの台詞が効いているからだと思う。

気になったら読み返してみてください。
「かちかち山」。

オススメは
田島征三の「かちかちやま」(ミキハウス)
です。

https://www.amazon.co.jp/dp/4895881016/ref=cm_sw_r_cp_awdb_NZQnzbF8SF683

絵も迫力がすごいし台詞回しもすごい。

「すごい」っていう褒め方バカっぽいけど「すごい」しか言えないくらいすごい。

あまりに文章が長くなってしまうので割愛したけれど、うさぎがとぼける時の台詞も秀逸で、日常生活でとぼけたい時に役に立つので、そこも要チェケラ!

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