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ルーキーとベテランとジョブホッパー|03
クリエイティブな時間を作ったが、これは新しいものを生み出す時間だ。
ベテランの有利さというのは、ベテランになるまでに築いてきた取引先とのコミュニケーションなどのリレーションシップ、周囲の環境への慣れだと思う。
ルーキーの「慣れ」を生み出すにはどうしたらいいのだろうか?とベテランの私は考えた。
慣れをクリエイションする。
そこで、取引の窓口をルーキーに設定し、裁量権を持たせることにした。
※さすがにここは会長、社長に説明するのは根気が必要だった
ルーキーに、ある案件を担当してもらう。
報酬はいくらで受けてもいいという条件で、取引先と交渉してもらう。
ベテランは、会話内容を交渉後に精査し、シミュレーションし、どうすべきだったかを互いにまとめる。
そんなことを繰り返している間に、私が仕事を辞める時がきたが、私しかできない仕事は既になかった。
ルーキーもベテランになっていたからだ。
あえてベテランの私に何かあったとすれば、クリエイティブなことをする時間の過ごし方が上手いということくらいか。
いや、ダラダラしているだけか。
クリエイティブな時間に、堂々とダラダラできるのは私だけの才能だ。
私は、あらゆる仕事が、人間関係と環境で決まると考えている。
人間関係と環境において、ベテランが当たり前に有利な点は多い。
だが、ベテランが会議やMTGや商談に時間を割いている時に、同時に進めるべき作業はルーキーが主に遂行しているという構図が、身の回りには多くあった。
この仕組みが出来上がると、ベテランは指示をし、ルーキーは指示を受ける。
ベテランは間違っていない前提で指示するし、ルーキーも間違いでないと信じて作業する。
この構図がいらないのではないか?
指示というのは、誰でもできるものだ。
無能な指揮官の指示で全滅しかける軍隊を、1人の異端軍人が大活躍して救うというフォーマットの戦争映画がよくある。
このフォーマットが通用するのは、指示側が往々にして無能であるという共通認識がないと成立しない。
「無能なやつはそもそも上に立てない」という指摘は先にこないのだ。
無能でも指示側にいることはよくあるが、そこを救うスーパーヒーローに僕も私もなりたい、憧れる。
こういった共感がなければ成立しないフォーマット。
このヒーローをルーキーに担ってもらったのが、私だったのだろう。
指示系統には、無能がつきものだ。
しかし、必ずしも指示側のベテランが無能ではない。
ルーキーも、指示側の無能を助長する手助けをする仕組みができあがっているからそうなる。
なるべくしてなる。
ベテランはある環境に依存してしまうと、新しいものを受け入れづらくなる。
正しいと思いこむ。
そうなると、ルーキーが思う何故こうしないのか?という疑問を吸い上げられない。
ルーキーもベテランのいうことが正しいと思い込めば、間違いに気づいても、この職場ではこれが正しいのだと思ってしまう。
明らかな間違いに気づいても、それをルーキーが自信を持って指摘できる環境がなければ、ベテランを貶めるような感覚は嫌気を感じるだろう。
このベテランとルーキーの実験が、仕事を辞める私に新たな実験をさせるのだった。
ジョブホッパー実験である。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。 書くだけでなく読みたいので、コメント欄で記事名入れてもらうと見に行きます。