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ルーキーとベテランとジョブホッパー|01
ルーキーは、ベテランに下に見られる。
ベテランの間違いに気づいても、ルーキーは間違いを指摘しづらい。
ベテランは目上で敬うべきで、ルーキーはあくまで勉強中の身。
こういった構図の中に身を置いた経験がある人は、私だけではないはずだ。
私は35歳を迎える少し前から、
若い人のほうができるな
と思い始めた。
仕事を例にすると、きっかけは簡単だった。
ルーキーが新しい気付きを与えてくれたことだった。
私は取引先と商談をする際に、自分の手が足りないと思っていた。
そこで自分の下にルーキーを配置して、自分の手が届かない仕事をやってもらうことにした。
ルーキーに難しい仕事はない。
ごく簡単な作業だ。
資料をまとめ、型化された仕事を坦々をこなしてもらう。
ある日、私の仕事を何の説明もせずにやってもらった。
あまりに忙しく、ルーキーへの説明に手が回らないこともあったが、実際に自分の作業手順と同じになるのかと、疑問に思ったからだ。
ルーキーの間違いを指摘して、悦に入りたかったのかもしれないが。
仕上がった仕事を見てみると、確かにルーキーはミスをたくさんしていたが、ベテランの私にも新しい気付きもあった。
こう考えてミスするのか、むしろそう動くほうが自然だな。
私の作業を私のクセで属人化してしまっているんだな。
そう思った私はルーキーの給料をやや引き上げて、もっと多くの仕事をやってもらうことにした。
ルーキーの業務範囲を広げたのだ。
その中で、ルーキーがどうしても苦手というものだけ、私が巻き取ることにした。
この「苦手」は、ルーキーが作業できないほどというまでの苦手ではない。
ベテランの私とルーキーとで話し合い、どちらがスムーズに作業をする技術があって、強みを活かせるかという合意のもとに決めた。
そこで思った。
ルーキーの方が仕事ができるな。
それはそうだろう。
感覚が新しく、やる気に満ちている。
ないのは経験だけ。
その時、私は仕事を辞めようと決心した。
ルーキーに経験を積ませる作業に時間をかけない、私のようなベテランは不要だと思ったのだ。
そして、私は仕事のできるルーキーになりたかった。
私は仕事を辞める決心をした。
そして、辞めるまでの1年で、ある実験をすることにしたのだった。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。 書くだけでなく読みたいので、コメント欄で記事名入れてもらうと見に行きます。