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ありふれた風景

なんかむしゃくしゃして外へ飛び出した。
道行く人達は馬鹿みたいだった。
おもちゃの様に見えたから
壊しても良いと思った。

何も望んで無くて懸命に生きてきた。
約束に遅れそうで急ぎ足間に合うかな?
突然の悲鳴が聞こえたから
そっちの方へ目を向けたんだ。

俺を見る目が憐れんでいた。
嘲笑って馬鹿にしたんだ。
囁き声聞き逃さないぜ。
「お前が居るから悪いんだ」って?

ナイフが腹に刺さっていた
周りが赤で溢れかえった
高笑いが鳴り響いてた。
それが最後の記憶になるかな?

道端には名もない花が春風に揺れていたんだ。
ありふれた風景がいつもの様に流れていたんだ。

もう記憶も無いくらい
繰り返したら終わりが来るかな
我に帰ったその時は
男らに押し潰されてた。

嗚呼そういえばあの人に
遅れる事を伝えなきゃ
なんて顔しようかな?
なんて言い訳しようかな?

雨上がりの空の色はなんて綺麗な色してるんだろう?
ありふれた風景がいつもの様に流れていたんだ。
道端に名もない花が春風に揺れていたんだ。
ありふれた風景がいつもの様に流れていたんだ。

揺れていたんだんだ。
流れていたんだ。

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