【句作_04】なつのかぜ
●2023
▼水無月
ぼんやりと不安に駆られ桜桃忌
1009まで素数数え明易し
夕焼けるノド扁桃腺の茜
熱と寒同時に感じ夏の風邪
雨風にけがれをゆだね夏祓
▼文月
夏の風邪出掛けられない安息日
七度五分身動き取れず夕焼空
ベッドの上の座標ゆらつく熱帯夜
夢うつつ湿度に溺れる熱帯夜
虎の子のケットにくるまり半夏生
なけなしの涼を求めて水を打ち
炎昼に水も気力も霧散して
存在の意義すら溶けて炎天下
炎天下そしらぬ顔でドレミ歌
半夏生ウィスキングで肺洗い
ウィスクの青嵐吹くサウナ室
蒸す朝にヴィヒタ思わす草いきれ
黒南風にページとスピン揺れ踊り
南吹く別れはいつも淋しくて
通過する列車の風すら温く夏
以上、「なつのかぜ」20句。