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【初心者の気候変動🔰】気候変動の国際交渉の流れを分かりやすく整理してみた。

最近、ニュースでも話題になりつつある「気候変動」の話題。

でも、「温暖化と気候変動って何が違うんだっけ?👀」
「地球は温暖化じゃなくて寒冷化してるって聞いたこともあるけど、
どっちが本当なの?🌍」という状態の方、意外と多いのではないかと思います。

そこで、本noteでは『【初心者の気候変動🔰】気候変動の国際交渉の流れを分かりやすく整理してみた。』と題して、国連をはじめとする各国政府が気候変動についてどのように交渉を進めてきたのかについて解説したいと思います!

小学生の時に教科書で習った「京都議定書」くらいしか聞いたことないあなたでも大丈夫!
気候変動の国際交渉の流れを理解するには、下記の3つの条約を押さえておけば問題ありません!

1. 国連気候変動枠組条約(全ての基礎となるフレームの条約!)
2. 京都議定書(先進国だけに削減負担!)
3. パリ協定(全ての国が削減を宣言する画期的な条約!)

1. 気候変動の国際交渉の大まかな登場人物たち

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まずは、気候変動交渉に関わる登場人物たちのご紹介です!

①政府団
国連の交渉は各国から派遣された政府団(外交官)が行います。
例えば日本からは、関係する環境省、外務省、経済産業省がタッグを組んでひとつの政府団として交渉に当たります。

②NGO
実は交渉の外で市民団体として大きな役割を果たしているのがNGO。
NGOは「非政府組織」なので、どこの国の政府にも与せず
「気候変動の解決」などの社会的利益のために交渉団へ
政策提言などでアプローチをします。
有名どころだと、WWF(パンダのマーク)などが挙げられます。

③その他
他にも、
・報道機関(新聞やテレビ局など)
・企業(金融機関、省エネや再エネ関連企業など)
・科学機関(IPCCなど)
・著名人やセレブ(グレタさん、レオナルド・ディカプリオなど)
のように多くの関係者が挙げられます。

いろーんな人々が交わりあって交渉ごとが行われていくんだなと思ってもらえればOKデス!

2. 環境問題への意識の起こり(1980〜90年代)

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では、「環境問題」自体はいつから関心が高まったのでしょうか?

環境問題は産業革命による各国の工業化が進むことによる弊害として
1980年代から欧州等で議論されるようになりました。
それにより、UNDP(国連環境プログラム)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)といった国連機関が設立されました。

1992年には、温暖化や酸性雨、オゾン層破壊といった諸問題についての解決策を話し合うための「国連環境開発サミット」がリオデジャネイロで開催されました。
リオ地球サミットとも呼ばれるこの会議で、気候変動について解決していくために採択されたのが『国連気候変動枠組条約』です。

3. 国連気候変動枠組条約の締約

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覚えておくべき1つ目の条約ですね!

これは、「枠組み」と付いているように後述する京都議定書とパリ協定の基礎となるフレームの条約です。

ポイントは、2つあります。
①『COP(締約国会議)』の誕生
枠組みだけ大雑把に決まった条約なので、「どのように削減していくか」などの具体的な取り決めはこの条約を結んだ国々で話し合うことになりました。
その話し合いをする会議を「COP(Conference of the Parties)」と呼びます。
毎年冬になるとCOPのことがテレビなどで話題になりますが、それはこのことを指して言ってるんです!

②『共通だが差異ある責任』という考え方
現在(92年当時)起こっている温暖化の原因は主に先進国だったので、まずは先進国が温室効果ガスの排出を削減しましょう、というものです。
この考え方が根本にあるため、新興国などを含む全ての国が削減をしなければならないという条約がなかなか結ばれなかったのです。

ちなみに、、、
スライドにもあるように「条約」「協定」「議定書」「規約」「憲章」という名称は国際法上、基本は同じものを意味します。
ですので、ネーミングによる違いはあまりないと思っておいて構いません!

4. 京都議定書の締約

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覚えておくべきポイント2つ目は、みなさん聞き覚えがあるであろう
京都議定書」です。

ポイントは、2つあります

先進国に削減義務が発生したこと
京都議定書では、先進国に対して温室効果ガスの排出量の削減をする義務という法的な縛りが発生しました。
これは上述した「共通だが差異ある責任」論の結果とも言えます。

市場経済の仕組みを使った削減方法が生み出されたこと
スライドにも書いてありますが、温室効果ガスの排出を削減するために「排出量取引」など市場経済の原理を利用した方法が用いられることが決定しました。
ということは、排出する主体は国ではなく企業なので、ここにビジネスの余地が生まれてきます。
環境ビジネスはこんなところからスタートしていたりします。

ちなみに、、、
スライドにもあるように条約は、「署名→採択→批准→発効」という手順で効力を持つに至ります。

5. パリ協定の締約

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97年に採択された京都議定書。
しかし、2000年代に入ると温室効果ガスを排出する国の様子も様変わりしていきます。
京都議定書で削減義務のなかった中国やインドなどの新興国の排出量がどんどん増加したことで、京都議定書自体の意味が薄れてきてしまったのです。

そこから、全ての国が削減を宣言する条約の締結が叫ばれましたが、
新興国にも義務をもたせたい先進国」と「あくまでも排出義務は先進国に負わせ、自国の経済成長を抑制したくない途上国」という対立構図の溝が埋まらずに時間が過ぎていきました。

そんな中、後述するSDGsの策定や再生可能エネルギーの普及などが後押しをし、2015年についに「パリ協定」が締約されます。

ポイントは3つです。
全ての加盟国が参加する法的拘束力をもった条約である
②各国は削減目標を作成、提出し、達成のための国内政策を行う
③5年毎に全体の削減進捗を確認する会合を設ける

つまり、全ての国が削減目標を提出する義務があり、その合計値も適切になっているか5年毎に確認していくということが決められたのです!

いやー、先進国と途上国という長年の対立構造を乗り越え、
ついに結ばれた画期的な条約。感動的です。

このパリ協定こそが次世代の環境問題への態度の常識になっていくことでしょう。

ちなみに、、、
2009年にコペンハーゲンで実施された国連の気候変動会議COP15は「コペンハーゲンの失敗」として各国の交渉官から悲劇扱いをされています。
COP15は、オバマ大統領をはじめ各国の首脳が集い、何らかの国際合意が決まると世界中から期待を集めていたのですが、色々な要因が重なり合意に至らず「失敗」として捉えられているんです。

6. より詳しく知りたい方へ

今回のnoteを見てさらに気候変動の国際交渉に興味をもってくれたあなたへ。
こちらのnoteもご参照くださいませ。

「気候変動」を知るためのTED 3選〜簡単な解説付き〜

ドキュメンタリーで学ぶ「気候変動」〜めちゃわかる〜

【環境問題考察】オーストラリア最大の環境問題『アダニ炭鉱開発プロジェクト』に対するソーシャルムーブメントはどのように起こっているか?

パリ協定後のCOPでは、パリ協定を実際に動かしてくための細かな細則を議論しています。
しかし、アメリカの離脱騒動など一枚岩となって気候変動へ立ち向かうにはまだまだ予断を許さない状態です。

これからテレビ等で気候変動のニュースを見た際に、少しでもその理解が進むといいなと思います。

では。