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[映画]記事を年代順にまとめたもの
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[OldCityBoy的「映画」考察] カッコーの巣の上で(1975) ➡患者の人間性を抑圧するように見える婦長は本当に悪なのか?

覚醒系コンテンツの超名作で、若い方にぜひ見ていただきい作品です。 この作品に関しては、もはや語られつくされていると思うので、自身からは少し違った視点から記載しますね。 この映画にて、看守や精神病院側(特に婦長)が、患者の人間性を抑圧する悪のように見えますが、 "患者を安全に管理し、社会復帰を促す職務・責任を遂行する" と観点から言うと、実は彼らは何一つ悪いことをしていないんですよ! 具体的に、 まず、視聴者がまずイラっとくるグループセラピーの場面です。 自身のト

[OldCityBoy的「映画」考察] タクシードライバー(1976) ➡思い描く自身のキャラクターと世間の認知にどう折り合いをつけるか

色々な切り口から語れてしまう名作です。 見る年齢によっても感じ方が異なるため、それも名作たる所以なのですが、自身が若いころ見たときは、 空気読めないパンク!!! と衝撃を受けました。 が、今の年齢になると 自己に対する自身の認識(だいたい理想化されている)と、世間の認識との違いに対して、どう折り合いをつけるか と、もう少し深い意図まで読み取れるようになりました。 具体的に、主人公は激しく空気が読めない痛々しいキャラで、周りと関係性をうまく築けません。 つまり、

[OldCityBoy的「映画」考察] 狼たちの午後(1975) ➡ゴッドファーザーのデコボココンビによる茶番狂言劇

ゴッドファーザーの次男フレド・三男マイケルによるデコボココンビをシリアスコメディにしてみよう~、な映画です。 で、この映画にて、アル・パチーノって、ゴッドファーザーのような緊張感MAXの濃厚映画でも主役を張れるが、こんな茶番狂言劇もできるんだ!、とびっくりします。いや~、アルパチーノには華があるますね~。 がが、相棒役のジョン・カザール(ゴッドファーザーでは次男のフレド)が黒子に徹し、アル・パチーノを引き立てていること忘れてはなりません。 ゴッドファーザーでもそうでした

[OldCityBoy的「映画」考察] お早う(1959) ➡"芸術"から"日常あるある"までいっぺんに映像表現に混ぜれる大巨匠"小津安二郎"に感嘆する

この映画は凄いっす! 初見で衝撃を受けましたが、何が凄いか言語化できず、思わず連続して2回観てしまいました。 この映画を語る前に、 小津安二郎作品はちょいちょい見ていましたが、どーも好きになれませんでした。というのも、大人が理想化した女性像を押し付けられているようでなんだか…。 が、この作品はちょっと違う、との評判を聞いて、夏休みで暇だし観てみました。 で、驚愕でした! 何が凄いかというと、 "芸術"から"日常あるある"までいっぺんに一作品に混ぜ、エンタメとして成

[OldCityBoy的「映画」考察] スティング(1973) ➡知的で・ポップで・お洒落で・大掛かりな詐欺プロジェクト劇、で"オーシャンズ11"の元ネタ

"大掛かりな詐欺プロジェクト"という、今ではそれなり普及している分野における初めての映画ではないでしょうか。 詐欺なので犯罪ですが、悪党からだまし取る、という劇として観やすいストーリーにしてあり、エンタメの教科書的な作品です。 そして、音楽がなんともお洒落! あと、上手い役者さんを揃えすぎ! となってり、なんとも知的で・ポップで・お洒落な仕上がりになっています。 で、この映画を初めて見たとき、"オーシャンズ11"まんまやん!、とつぶやいてしまったのですが、勿論"オーシ

[OldCityBoy的「映画」考察] ガス灯(1944) ➡悪用注意な心理操作(洗脳)方法が分かる映画

よーやく70年代に入り、一気に進むかと思いきや、またそれより過去の映画を観てしまっているゴリゴリ理系です。 理由は、日本語教師ボランティアのポーランド人の生徒さんからおすすめされるからなのですが、海外の方がどの映画をどのように楽しんでいるかがどーしても知りたい。 で、おススメされたのが👇。 心理的な用語にまで発展した映画とのことで、感情的な解放と抑圧を繰り返す物語とは聞いてましたが、これを誰でも観れる状態なのはどうなんだろう…、と考えてしまった映画でした。 なぜなら、

[OldCityBoy的「映画」考察] 蜘蛛巣城(1957) ➡"能"の要素を入れてますが、本質はシェイクスピアの"マクベス"です。

日本語教師ボランティアのポーランド人の生徒さんからおすすめされた👇の映画を観たことを本人に報告し、「西部劇の元ネタって”黒澤明”の要素が大きいよね」、な話をしていると、「黒澤明の"蜘蛛巣城"って観たことある?」、と言われ、恥ずかしながら観たことがなく、さすがに日本人としてこりゃいかんだろう、と思い、観てみました。 で、シェイクスピアのマクベスをこれほど見事に映像化できる黒澤明に感嘆しつつ、解説に"能"についてに書かれていることには誤解を招きそうだったので、そこについて語りま

[OldCityBoy的「映画」考察] 続・荒野の用心棒(1966) ➡B級映画と思いきや、思わぬ名作!

前半は「なんじゃ、この雑なB級映画は…」 と思いましたが、 後半から「おや、意外と趣深いぞ!」 と印象がポジティブに大きく変わるところが面白い映画です。 そもそも、この映画を観たきっかけは、日本語教師ボランティアの生徒さんからおすすめされたことなのですが、 ・イタリア映画なのにウエスタン? ・スパゲッティ・ウエスタン?(日本ではマカロニ・ウエスタン) ・タランティーノがリメイクしている と、なんだか訳が分からない要素に興味を惹かれて観てみました。 で、冒頭で棺を引いている

[OldCityBoy的「映画」考察] 激突!(1971) ➡良い映画は、セリフが分からなくても面白い!

実はスティーヴン・スピルバーグ監督の映画ですが、我々の想像するスティーヴン・スピルバーグ作品っぽくなく、ドライバーが誰か分からないトレーラーが執拗に追いかけてくる、ストーカー的スリラー映画です。 で、このストーカーな着想のヒントは"明日に向かって撃て"だと思われ、顔が分からない刑事が、主人公2人を執拗に追いかけてくる焦り・不気味さ、をトレーラーに置き換え、そこだけに注力したものと思われ、シンプルですが、その分スリラーとして完成度の高い作品に仕上がってます。 で、この"完成

[OldCityBoy的「映画」考察] フレンチ・コネクション(1971) ➡ニューシネマ風に撮った王道作品で、"あぶない刑事"はこの映画がモデルだろう

ぱっと観た感じ、「あれっ、ニューシネマ?」、な印象を受けます。 理由は画面が妙にざらついているからなのですが、恐らく意図的にあまり性能の良いカメラを使わず、ニューシネマ風な絵にしたかったためだと思いますが、ストーリーや演出は王道です。 が、このニューシネマ風な絵と王道演出を組み合わせるところがなんとも新鮮で、自身は👇の"ブレア・ウィッチ・プロジェクト"を思い出しました。 この"ブレア・ウィッチ・プロジェクト"ですが、内容はもう定番化した王道ホラーなのですが、撮り方を主人

[OldCityBoy的「映画」考察] イージー・ライダー(1969) ➡退廃系ニューシネマ、最終的にMac製品開発へ至る

退廃系ニューシネマの傑作ですが、映画の内容をご存じなくても、主題歌である"BORN TO BE WILD"は聞いたことはあるのでは?、と思います。また、あまり知られてませんが、ジャック・ニコルソンが、我々の想像する"ジャック・ニコルソン"完成形で出ています。 で、この映画は、"俺たち明日はない"、"明日に向かって撃て"、と同じ退廃系ニューシネマですが、この2つの映画は逃亡劇ですが、"イージー・ライダー"は放浪が演出の軸になっています。 つまり、社会に馴染めない若者が自由を

[OldCityBoy的「映画」考察] ブリット(1968) ➡大人な男の子の大好きなものを集めてみました映画

大人な男の子なら皆大好きマックイーンの映画ですが、それは大人な男の子が大好きなアイテムがたくさん出てきて、それをマックイーンがカッコよく扱うからです。 で、マックイーンの代表作の1つである"ブリット"にて、男心をくすぐるアイテムを羅列していきますね。 ■銃 銃自体も男心をくすぐるアイテムなのですが、どちらかと言うと銃を身に着けるホルダー姿ですかね。一見、銃を持っているように見えず、そこから銃を取り出すまでの姿は、男の子は皆憧れるのです。 ■車 この映画ではカッコイイ車2

[OldCityBoy的「映画」考察] 真夜中のカウボーイ(1969) ➡アンディー・ウォーホルがファクトリーでやりたかったことと、その時代背景が分かる映画

1967年の"俺たちに明日はない"から始まるニューシネマの傑作で、ジョン・ヴォイト、ダスティン・ホフマンとも、とってもよかったです。 物語は、ニューシネマらしく終始退廃的ですが、後半にアンディー・ウォーホルのファクトリーらしいものが出てくるので、「あれ!?」、と思って調べてみると、 この映画の2年前の1967年に"The Velvet Underground and Nico"がリリースされており、 さらに1年前の1968年にファクトリーでアンディー・ウォーホルへの狙撃事件

[OldCityBoy的「映画」考察] 2001年宇宙の旅(1968) ➡この映画だけはなぜか異次元の完成度を誇り、映画史の特異点

もはや語られつくされており、自分ごときが語れる映画でもないのですが、旧帝大にて通信工学修士を取っており・電磁工学の論文を出しているゴリゴリ理系から視点より。 この映画だけは、なぜか映画史の特異点なんですよね~。 この"特異点"という意味ですが、数学的に言うと微分できない箇所で、物理世界ではエネルギーが集まりやすい箇所で、宇宙ではブラックホールの原因と考えられてます。 要は"ここだけなんか変"と理解してもらえば良いのですが、 67年→俺たちに明日はない 68年→2001年