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赤松利市 藻屑蟹(徳間文庫)を読んで

今回の作品は赤松利市さんが大藪春彦新人賞を受賞した藻屑蟹という作品。ネタバレ回避の抽象的感覚派読書感想文、推薦文を書いていきます。

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この作品は東日本大震災が発生して6年の月日が経った東北地方(福島県、宮城県)を舞台にした作品。

主人公は何でもない平凡な木島雄介という男性。彼が友人の純也との繋がりから原発の除染作業員となる。そこで目にする膨大な金の動きと、策略、差別などが、ノンフィクションかと思わせるほど詳細に書かれています。

僕たちが目にする、普段のニュースでは原発避難民たちは同情すべき可哀想な人という扱いをされています。だが、現地の避難民を受け入れた地域の人たちは一概にそうだと考えないようです。また、除染作業員に対しても容赦なく、現地民たちの生の意見を作品を通して聞くことができます。

これは貴重な小説だと思います。こうして作品に触れて、当時の原発事故とその後の東北について思い出し、リアルな醜い一面をまざまざと見せ付けてくれる物語は一読する価値が大いにあると思います。

その貴重さから僕は蟹の味噌を連想しました。タラバガニの甲羅をパカッと開いて、貴重で美味しい味噌(内臓)を指で掬って舐めているような感覚。独特な臭みも多少はあるがコクのある旨みが口全体に広がり、味噌の風味を忘れさせなくします。

僕もこの作品を通じて原発事故に乗じて金儲けをする人々がいることを知り、殆ど全ての物事には悪意が多少なりとも含まれることを再認しました。味噌の独特な風味のように忘れることはないでしょう。

これで読書感想文、推薦文を終えます。また僕の習作のリンクを↓↓

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