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島本理生 ファーストラヴ(文春文庫)を読んで
今回もネタバレ回避し、感想を味覚や嗅覚などで伝える抽象的感覚派読書感想文を書いてまいります。
作品は島本理生さんの「ファーストラヴ」です。自分では絶対書かないし書けないような作風でしたので、純粋に物語を楽しめました。
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物語は、ある一人の美貌を持った女子大生が自らの父親を殺害する事件を端にする。
彼女の事件についてノンフィクション本を出版するために、臨床心理士の女性主人公が動き、彼女の様々な過去が発覚していく。
一人の女子では到底抱えきれないようなトラウマに直面しながら調査を進めていく中、主人公本人の過去も明らかになっていき……。
人間を真正面から見つめ、一直線に深掘りしていくような作品でした。
特に男性の方には、女性作者ならではの複雑な思考が楽しめ、未知の世界を味わえると思います。
真正面から人間の底に向かい、あらすじは正統派なので一見地味かもしれないが、深みを感じられる作品です。
喩えるならば、野菜たっぷりだが香辛料の効いた冷麺のような一品だと思います。
キュウリやニンジン、リンゴ、酢などがさっぱりとした風味を演出しながら、しっかりと栄養素を与えてくれます。
ニンニクやラー油などが味に深みを与え、さっぱりとした料理に臭みさえも添えてくれます。
普段ジャンキーな物を多く摂取している方にとてもお勧めでございます。
これで今回の読書感想文を終えます。読書の楽しみ方は作品の数分の通りがございますので、気分に合った作品を手に取っていただければと思います。
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— 松井健太朗│纏美神化主義の祖、小説家。人間を芸術作品として完成させるための哲学的ヒントを小説で発信 (@mkmmkkkmmmmm) May 18, 2024
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