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工藤吉生の『未来』の短歌

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歌誌『未来』に掲載された短歌のまとめ。2016年1月号から。彗星集。 投げ銭方式なので、無料ですべて読めます。
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#未來

不審者情報【10首】

不審者情報【10首】

最低な歌を「未来」に出詠する夢から覚めてここが現実

いいですよ隣の車輌にもうひとりオレがいたってかまいませんよ

目は閉じることが可能で電車での一人のためにそれをおこなう

遠慮したレジの袋でできているみどりの星よあおい空気よ

同一のポスター四枚ならぶうち奥から三番目を見てた人

バス停に女性が持っている本のタイトル見えてグーグルに打つ

不審者の情報はオレと一致せずまだ大丈夫春はこれから

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こころをこめて

こころをこめて

立ち止まり眺める踊り おどってる男女は持ち場持ち場の火の粉

パジャマではないと言いきれるだろうか? みたいな服だ3マス戻る

寒さから逃れようとした両の手をふとももとふともも受け入れる

リモコンをテレビに向けて電源のボタン押し消すこころをこめて

浴槽に入って使う水鉄砲、床を撃ち、壁を撃ち、天井を 、

宝くじ売り場はまったく原色のまま立つオレが持たないカラー

幸せで何が悪いと純潔に言わし

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