マガジンのカバー画像

工藤吉生の『未来』の短歌

49
歌誌『未来』に掲載された短歌のまとめ。2016年1月号から。彗星集。 投げ銭方式なので、無料ですべて読めます。
運営しているクリエイター

2017年4月の記事一覧

仙台市営地下鉄〈短歌10首〉

仙台市営地下鉄〈短歌10首〉

「仙台市営地下鉄」

休日の朝の空気はいいもんだバスプールに聞こえるハングル語

近づくとビョワンとエスカレーターはオレ一人のため全段うごく

ながいながいエスカレーターに運ばれて死んだ直後のような気持ちだ

才能と努力みたいなことかなあエスカレーターを走る革靴

父親は子を抱き上げて地下鉄のレール二本をよくよく見せる

親切ということにしておきましょう監視カメラが変に大きい

人形であってもわか

もっとみる
「未来」2017年4月号に載った短歌

「未来」2017年4月号に載った短歌

誰も見てなければ頬にある肉を動かしてみるまだ笑えるよ

モンテスキュー、よかったな女子高生がさっきお前のこと言ってたぞ

ほう、犬の服が光っていることで安全性が高まっている!

一口をかじったら具がみんな出てやがて具のないオレのバーガー

なめんなよぶちかますぞと頑丈な壁を背中でズンと押しやる

歩道橋の上で出くわす細長い影の誰でもどうだっていい

リセッシュの隣に置いたファブリーズ仲の良くない夫

もっとみる