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工藤吉生の『未来』の短歌

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歌誌『未来』に掲載された短歌のまとめ。2016年1月号から。彗星集。 投げ銭方式なので、無料ですべて読めます。
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2016年2月の記事一覧

無限の可能性

無限の可能性

もしオレが樹木だったら紅葉の中にみどりを維持するだろう

すべり台を寝そべりながらずり落ちる君たちの無限の可能性

ブランコをしている時の感触だお尻の下のぐわんぐわんだ

結局は何もわからぬ人体の耳がかゆくて突っ込む小指

降って止みやんでまたふる雨粒のオレもがんばらなきゃいかんなあ

このシャツは薄くてちょっと透けるのだオレの乳首ようれしいだろう

うしろから目隠しされた思い出の真っ暗よりも指の

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こころをこめて

こころをこめて

立ち止まり眺める踊り おどってる男女は持ち場持ち場の火の粉

パジャマではないと言いきれるだろうか? みたいな服だ3マス戻る

寒さから逃れようとした両の手をふとももとふともも受け入れる

リモコンをテレビに向けて電源のボタン押し消すこころをこめて

浴槽に入って使う水鉄砲、床を撃ち、壁を撃ち、天井を 、

宝くじ売り場はまったく原色のまま立つオレが持たないカラー

幸せで何が悪いと純潔に言わし

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