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親しき仲にも【ショート】

「あのさ、お金借してくれない?」
「どうして?」

「何も言わず借してくれ」
「そのフレーズ聞いたことある。図々しくないか?」

「ちょっとでいいんだけど」
「ちょっとってどれくらい?」

「にじゅ~し、ご?」
「大卒の初月給か?」

「ケチケチすんなって」
「借りる側のセリフか?」

「まけにまけて20で手を打とう」
「だから借りる側が言うな。急に言われても困るよ」

「金の切れ目が縁の切れ目だぞ。俺とお前の縁が切れてもいいのか?」
「その切れ目を作ってるのはお前の方だ」

「いいからいいから」
「いや、良くねぇよ。借したとしていつ頃返せる?」

「出世払い」
「ふざけんな」

「年内」
「ざっくりだな。ボーナスとかもらってるだろ?」

「いや、ボーナスは無理だ。車検がある」
「借りる身で自分の都合ばっかり言いすぎだぞ」

「なんとかならないか?」
「借りる前に、お前の方でなんとかならなかったのか?」

「ならなかったから頼んでいる。しつこいぞ」
「今、しつこいって言った?」

「しゃあ半分の10でいいよ」
「でいいよって、こっちがもめてるみたいな
言い方すんな」

「で、いつもらえる?早ければ早い方がいい」
「要求ハンパないな。コンビニいくから待ってて」


「遅いな。いつまで待たすんだよ」
「もう借さないぞ?ほら、10あるから数えろ」

「1、2、3・・・・9?9しかねえぞ?」
「しかって言うな。・・・・あ、悪ぃ悪ぃ、財布に残ってたよ。これで10だ」

「おいおい、しっかりしろよ。誤魔化そうなんてセコい真似すんなよ」
「そうなつもりは無いけど・・・一気に返せとは言わないから、来月くらいから少しずつ返せるか?」

「無茶言うな。そんなにすぐ返せるかなら借りてない」
「無茶はそっちだ。絶対返せよ」

「もらうとは言ってない。借りるんだからいいだろ?」
「どうしてそんなに上から言える?」

「そんなに心配なら借用書みたいなのを書いてもいいぞ」
「う~ん、額が大きいからな。まあ、形だけ」


「・・・はい、金額と日付けと、一応名前も書いといた」
「おお、すまない」

「じゃあ、またな。今度飯でもおごるよ」
「おう、ありがとう・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
ってなんで俺がお礼言ってんだよ!!」

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