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汚いラーメン屋【ショートショート】
「なあ、汚いラーメン屋があるんだけど行かないか?」
同僚の高田がランチに行こうと誘ってきた。
「普通そう言われて行く訳ないんだけど。あれだろ?築50年くらいの小さな店で、看板も暖簾もボロボロ。カウンターに置いてあるラー油もベトベト。古びたテーブルに赤と白のチェックのテーブルクロス。何かの汁がついたメニュー表。頑固そうな店主が、洗濯しても白くならないエプロンしてて、使い込んだ鉄製のフライパン振りながら、ぶっきらぼうに作るチャーハンがめちゃめちゃ旨いってパターンだろ?いいよ!そういう店、嫌いじゃないから」
「いや、そこまでじゃないけど。あと二人くらい行ける奴いないかな?」
「うちの部署の後輩誘ってみるよ」
後輩を誘い、計四人で高田の言う汚いラーメン屋に行くことになった。
「このラーメン屋なんだけど、行こっか」
「へ~、まあ小さめだけど、そこまで汚い感じはしないな」
店内に入り、テーブルについた。
「まあ、建物は古そうだけど、普通に小綺麗にしてるし・・・おすすめは何だ?」
「俺が好きなのはギョーザと天津飯かな。一通り食べたけど外れはない」
お腹もすいていたので、四人で食べたい物を適当に注文した。
注文してしばらくすると、店主が高田に挨拶に来た。
「高田さん。いつもありがとうございます!今日はたくさん来ていただいて」
「いやいや、同僚にもこの店の味を知ってもらいたくてね」
「ありがとうございます!」
厨房に戻る店主を見て、高田に小声で言った。
「・・・・(どこが汚いんだよ?店主も愛想いいし、イメージと違うぞ!)」
「いいからいいから」
ラーメン、チャーシュー麺、ギョーザ、から揚げ、天津飯、春巻き。
後輩とシェアしながら一通り口をつけた。高田のいう通り外れはなく、予想以上に旨かった。
食べ終わり、つま楊枝でシーシーやってると、店主がやってきた。
「高田さん。今日はお友達も来てるから、サービスね。四人だから一人1000円。全部で4000円ポッキリでいいよ」
「え?天津飯とか春巻きも頼んだのにそれだけ?安いな~」
「サービスサービス!また来てくださいね!」
店を出て、高田に言った。
「普通にいい店じゃないか。小綺麗にしてるし、旨いし、安いし、店主も愛想いいし。どこが汚いんだ?」
「そう思うだろ?」
そう言って高田は、その店のメニューのチラシを内ポケットから出した。
「俺達が注文した物、全部計算してみて?」
「え?・・・ラーメン550円が2つ、チャーシュー麺650円が2つ、天津飯が600円と・・・・・・・合計・・・3850円!?あれ?」
「ね!サービスって言いながら、いつも高くなってんの。人数多ければ多いほどぼったくられる」
「きっったねぇな!!」
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