見出し画像

226.20220725:トゥの回:賃貸契約

トゥ

昨夜は寝落ちるまで
ランと引っ越しについて
取り留めなく喋った。

喋っている内に
二人の求める部屋が似てきて笑った。
なるほど
それも良いかもとか、
そう考えたら
こうじゃなくても良いかもとか。
「こうあるべき」が緩んだら
しあわせへの道標が増えた気がした。

今日、
新しい部屋が決まった。
セトフォルドのコンリウドンとの境に建つ
ラリーサの会社が管理していると思しき
3階建ての壁がやけに厚い集合住宅の
勝手口と庭付きの1階。
美しい模様の防御力の高そうな
しっかりとした金属製の柵の先が
高い位置でぐるりと曲がって
外壁の二階との境に
刺さっているつくりだったのが
決め手になった。
物件選びの手引書には
おんなのこ・・・・・は1階は避ける方が無難と
書いてあったから、
昨日までの希望順位は
最下位だったのだけれど、
内装が最高にランの好みで、
間取りが大型獣人と小人に
最高に誂え向きで、
防犯面の懸念事項が解消されたから、
契約に至ったという次第。

この星の全ての住居の家主は国連だから
空いてさえいれば
契約を断られることは無い。
住居は水や空気と同等に
生きる上で必要不可欠なものだから、
家賃を滞納しても
その部屋の内覧を望む人が現れるまでは
追い出されない。
滞納が3カ月続くと
新住人を募集するから、
誰かが内覧を希望したら即座に
引っ越し先を探させられる。
とはいえ、
一度やらかしてしまうと
専用物件・・・・を紹介されて、
貧困から脱するまで
転々とせずに暮らせるらしい。
家賃は借金にはならない。
滞納3カ月の時点で時効が成立するから。
優しい制度だと思う。
生きている以上は、
何時までも健康でいられるとは
限らないし、
災害や事故に遭う可能性だって
零ではないし、
そもそも
お金を稼げる加護の
人ばかりではないから。
師匠の客に
ぺんぺん草の加護を得ている人がいて、
若い頃はナズナの有用性を知らず
不貞腐れたと言っていた。
無駄な加護は有り得ないけれど、
活かせるかどうかは別の話なのだ。
生まれた環境や育った環境で
同加護の先達に出会えず
調べる能力や工夫する能力に
恵まれないと
合わない仕事に就いて
運命の悪循環を引き起こす。
そうなると食うや食わずの生活から
脱出できなくなるそうだ。
そこへ持って
家賃が雪だるま式に
一生借金として
着膨れ上がったりなんかしたら
生きる気力すらも
失くしてしまいそうだもの。
優しい社会を維持できるよう
選挙には真面目に対峙せねばねばねば。

契約祝に案内師から
500レイトの籤を
勧められるまま、
トゥが先に引いてみたら
大当たりが出て、
今日からでも寝泊まりして良いと
鍵をもらった。
これは特殊なパターン!
気ままに荷物を運べるなんて
何と幸運な!
やっふーい!!

マリエラセス暦3903年8月7日こく曜日23時28分。


#ラン・リエルロイスと兎小人 #日記 #イラスト #小説
#ファンタジー #一次創作 #プラトニック
#Cmon諭 #嘉又夢了 #環を持つ土塊の星 #711号室


宜しければサポートの程、お願い申し上げます。 頂戴したサポートは、 闘病生活と創作活動に充てさせていただきます。 スペインはグラナダへの長期取材を夢見ております。