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234.20220802:トゥの回:きとぅんぶるー

トゥ

今日はトゥが午前獣医の日。
曜日も変わりなく勤めてくれる
医師達には感謝しかない。

朝トゥが行ったら、
泰市タイチから生えていた無機質な管が
一本減って二本になっていた。
昼食後にランが行ったら、
また減って一本になり
ガラスの箱から
少し広いケージに移されたそう。

夕方待ち合わせて二人で
食事の買い物へ向かったら、
看護聖霊がかっ飛んで
追いかけて来た。
泰市の意識が戻ったと。

転げんばかりに駆けるランの髪に掴まって
案内された病室に行くと、
泰市はきとぅんぶるーというらしい
未だ殆ど視えていないらしい
不思議な濃さの青い目を見開いて、
ぴやぴや鳴きながら、
胴体の横から外向きに生えているような
貧相な四肢で
落ち着きなくくうを掻いて、
クッションの上で蛙泳ぎしていた。

看護師が猫用哺乳瓶に作ったミルクを
ランに手渡した。
最初のママのお仕事だと言う。
哺乳瓶が大きいから
こればかりは大きい人に任せましょうと
トゥに向かって言い添えた。
間違いない。
哺乳瓶はトゥがやっと抱えられる太さで、
うっかりよろめきでもしたら
泰市の鼻の穴にミルクを注いでしまう。
お互いトラウマになってしまうだろう。
でも……でも……
うーーーー……。

温かく甘い独特のミルクの匂いが
泰市の四肢を哺乳瓶の乳房に集めた。
ママ上にやるのと同じように
ミルクを搾り出すように
ふみふみするのだそう。
本に書いてあった。
まだ出っ放しの小さな爪が
ゴムを引っ搔いて
細かな傷を作って、
雑菌が残りやすくなるから、
熱湯消毒を念入りにしましょうと。

獣医が泰市の離乳が終わるまでは
念の為病院で育てましょうと言ってくれた。
夜間と食事中の世話は看護師がするから
昨日今日と同じ時間に
来られたら来て
できる時にできる事をしてあげるようにと。
有り難や!!
数時間おきの授乳を
ランに任せるしか無いのかと、
耳を掻き毟りそうに苛まれた
トゥはどれだけ救われたか!

マリエラセス暦3903年8月15日はく曜日23時47分。


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