見出し画像

現役医師が伝える  理系地学(発展科目)受験について 文系の地学基礎受験についても書きます!

 こんにちは、精神科医・精神保健指定医のロナ先生といいます。私は生涯学習のために高校範囲(文系理系問わず)全範囲を勉強しています。理科は高校時代に物理と化学を選択し、医学部では細胞生物学・生理学・生化学を学んだため生物を含めた理系3科目は学んだ経験があります(精神科医になってから植物分野や植生についても一応やりました)。今回理科最後の科目として理系地学を独学致しました。達成度確認ということで令和4年度の共通テストにて発展科目の地学選択・および筑波大学の理系学部を受験してきました。とてもマイナーな科目ですがマイナー科目であるが故のメリットとデメリットがあり、その情報を提供することで少しでも役にたてばと思い書いております。後述しますが、文系の学生さんは地学基礎はとてもおすすめの科目だったりします。

 インターネット時代の昨今、武田塾であったりyoutubeチャンネル等で色々な科目で「参考書ルートはこれだ」という情報に溢れており、参考書の質も私の頃と比べると高くなってきているため、参考書ルートをきちんとこなすことである程度受験で戦える時代となってきております。キャストダイスTVの小林先生なんかも「大学受験は情報戦だ!」とおっしゃってますもんね。実際その通りだと思います。 

しかしながら地学に関しては情報戦となる情報がそもそもありません。武田塾であったりキャストダイスTVの動画であっても地学に関しての情報は「ごめんなさい地学はわかりません」という内容になっております。スタディーサプリでも地学基礎の動画は今後削除対象という悲しい扱いであり(R4.3月現在)、発展科目の理系地学の動画はありません。そんなマイナー地学ですが、少しでもこのnoteが理系地学受験を考えている学生さんにお届けできたらなと思います。地学基礎についても触れておりますので文系で地学基礎を学ぶ方も是非お買い求めください。



§1地学受験のメリット 


1-1 他の3科目との比較 3科目のメリットデメリット
 4科目勉強した私がそれぞれの科目の感想を述べます。比較することなしに地学は語れません。
1-2物理
受験科目としては大変おすすめの科目です。暗記量が少ない。数学が得意な学生であれば、まるで数学IVみたいな感覚の科目です。数学が得意な子であれば赤本に辿り着くまでの所要時間は一番短くなる可能性があります。試験本番の際でもメリットは大きく、多くの理系学部の二次試験や共通テストで60分以内に解き終えられる可能性が高いです。また有効数値計算もそこまで煩雑ではありません。そして大学入学後では医学部等の生物系学部以外の学部では基礎科目として非常に重要です。生物系の学部に例え行ったとしても後で生物はやるので理系として物理の教養は大切です。古典物理学(高校範囲の物理学のこと)は数学と同じくらいの土台となるでしょう。
デメリットは、数学がニガテな学生さんは物理もニガテな可能性が高いです。相関していることでしょう。
科目との相性は化学とは気体の性質と熱力学が関連しています。地学は後述ですが地学選択者はもう1科目は必ず物理にしましょう。相性が良すぎます。生物とは関係ありません。文系の方は物理基礎をチャレンジしなくても良いです。できるなら大変おすすめではありますが、数学や物理がニガテな方は無理せず生物基礎で受験しましょう。
1-3 生物
暗記科目です。覚えたもん勝ちです。また遺伝子に関わる実験問題は論理パズルようなその場で考えさせる問題が多いです。メリットとしては暗記なので覚えていれば試験でも総崩れしないでしょう。生物は自分自身が人間であるため生物学者にならずとも、生命のシステムを知っていることは健康な生活を送る上であったり、医者の説明がわかるなどのメリットも大きいです。デメリットとしては暗記がニガテな学生には向いていないこと、赤本に辿り着くまでの勉強時間もそこそこかかります。また試験本番では、読む量がとにかく多いので状況設定の理解は結構大変です。論理パズルの問題を試験本番での相性次第では解けなかったり論述にも手間取る可能性があります。他の理科科目からは程度独立しています。関係あるのは化学のDNAの分野程度です。地学とは炭素循環くらいしか被らないです。物理とは完全に独立です。満点がなかなか取りづらい科目でもあると思います。制限時間内に解くのも60分ギリギリの場合が多いと思われます。総合的に入試科目としてはおすすめの科目になります。物理と生物選択も正直ありだと思います。120分2科目の試験で集中力を切らさない、計算ミスで総崩れしない、物理とは違ったポートフォリオが選べるという点では入試での大番狂わせのリスクを下げられるためおすすめの組み合わせと言えます。私の時代では生物には良い参考書もなければおすすめの講義もありませんでした。今の時代は参考書も充実していますし、スタディーサプリの牧島先生の講義は大変おすすめです。私が医学部受験生に戻るなら物理・生物選択をしていたと考えます。
1-4 化学
理系ならほぼ全員受講している科目です。理科の土台となっている科目と世間では言われていることでしょう。このため同調圧力が大変働きやすい科目です。化学が好きな人は無難に選択しても良いかもしれません。メリットはあえて書きません。
 デメリットは兎に角量が多い!!赤本までに辿り着く時間が長すぎる!!理解しなければならないことも多い!暗記も多い!!計算も多い!!有効数字計算なんて人間が手作業でやるものではありません!!有機の構造決定間違えたら大門丸々落としてしまう!!そして入試本番でも「え、本当に60分で解くのこの量?」と絶望することもしばしばあるでしょう。このnoteに辿りついた人はそんな化学に絶望した学生さんである可能性が高いと思います。化学を選択したということは他の科目を早く終わらせ時間のかかる化学に取り組まなければなりません。文系の方もあえて化学基礎を選択する理由はありません。
1−5 地学
繰り返し申し上げますが私は化学に絶望している、受験までに時間が無い人は物理・生物受験を推奨しております。私が高校生時代の自分におすすめするのであれば迷わず悩んで勉強に手がつかないなら化学を捨てなさいとアドバイスすることでしょう。
 しかし別の方法もあります。地学・物理選択という方法が。。。初代ドラゴン桜の選択パターンです。メリットを列挙していきます
・宇宙船地球号を学べる
⇒我々の住んでいる地球を学べます。地球に思いを馳せるなんてロマンがあるじゃ無いですか
・地震や火山を学べる
⇒地震大国日本に我々は住んでいます。地震について詳しくなれるのは後々役に立つかもしれません。災害を経験しても生き延びることは最大の恩恵です。
・天気予報がわかる
⇒テレビのお天気お姉さんや森田さんが言ってることが理解できるようになります。天気図も読めるようになります。
・環境問題がわかる
⇒環境問題は社会の領域でもありますが地学の分野でもあります。なぜCO2がやばいのか地球の歴史や海洋の深層循環などを学ぶとわかります。時代はSDGsです。文系であってもSDGsの立場から地学の知識は役に立つことでしょう。
・宇宙を学べる
宇宙最高!厨二病感満載!宇宙領域はRPGに出てくるような用語が満載です。宇宙に思いを馳せるなんて素敵じゃ無いですか。精神科医の心理療法としても宇宙に思いを馳せることはメンタルにとても良いことです。なんと自分はちっぽけな存在なのだろうということが学べます。宇宙や地球などデカいことを学ぶことは自分の小ささを再確認することができます。
・物理との相性(理系発展科目のみ)
⇒地震・半減期計算・宇宙領域は計算問題がありますが、ほとんど場合は物理的な思考力であったり、物理そのものであったりします。物理の中でもマイナー領域である、コリオリの力・ケプラーの第三法則・原子物理分野の一部、はより深く勉強することになります。物理の受験生でもこの領域はニガテな人が多いです。地学は物理受験者の弱点補強が自然とできるようになってます。(お恥ずかしながらコリオリの力を人に説明できるくらい理解できたのは地学を勉強してからです。医学部受験時代ではわかったつもりになってました)。また物理入試でも目新しい設定の問題も実はバックグラウンドが地学領域から持ってくるケースがあったりします。地学選択者にとってはかなり有利です。
・公式が少ない(理系の話)
⇒物理的な科目ですが公式はたった16個です。そのほとんどが宇宙分野です。しかも内容も物理っぽいです。地学基礎では極端に少ないです
・暗記が少ない
⇒残念ながら全く暗記が無いわけではありません。どちらかというと地学は暗記科目です。しかし覚える量は生物以下どころか無機化学以下かもしれません、、、。(参考書としてノートを作っていたのですがルーズリーフ50枚程度でした。予備校のノートを考えてもらえばわかりますがルーズリーフ50枚がどれだけ薄いかわかることでしょう。二次試験の休み時間でも軽く1周読み通すことができます)
・社会科との接続
環境問題でも少し書きましたが。!!!!!地理は地学です!!!!!!!!
地学の資料集を手に取ってみてください。系統地理で見たことある図がいっぱい!!そうなんです。実は地学がチート科目なのは物理との相性の良さだけではなく地理との相性がものすごく良いんです。これは文系の地理選択の方にも是非理科基礎は地学基礎を取ってほしいくらいです。同じものを人文的に切り取ったものが地理、サイエンスとしてきりとった学問が地学です。地学を学ぶことで社会も勉強できるなんてお得ですね。地学選択の理系の方は共通テストでは地理選択を強くおすすめします。文系で理科基礎を地学基礎、社会を地理選択することはとてもおすすめな組み合わせです。
こんな本すらありますね!

・入試本番でのメリット
⇒二次試験では化学の難易度と比べると(ほんと最近化学の難易度インフレしてますよね!)地学は比較的易しいです。どれくらい易しいかというと難しい大学でなければ60分の試験で30分程度で解き終わります。東大であっても時間はかなり有利に運べると思います。そうすれば化学受験者の1.5倍は物理に時間をかけられるというメリットもあります。筑波大の入試は120分で理科2科目でしたが20分近く時間が余りました。(物理もゆったり70分もかけて解けました。ほとんどの受験生は時間ギリギリまで解いていたような状況の中、暇すぎて試験監督と良く目が合いましたw)。受験において時間はパワーです。地学選択者で時間ギリギリという大学はほぼないと思われます。つまり地学受験で時間を制すれば物理(もしくはもう1科目)の得点も大幅に伸ばせることが期待できます。



§2  地学受験デメリット

ここから先は

4,237字 / 1画像

¥ 500

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?