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アツのハナシ

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アツが麻雀を知り、溺れ、後の相棒ユウと出会うに至った時期の物語。
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2020年3月の記事一覧

アツ、20歳。麻雀修行に明け暮れる。

「麻雀 牡丹」と書かれたドアを開けると、エプロン姿のスタッフ達の視線が僕に集まった。

店内ではフリー卓が2つ稼働していた。

いらっしゃい、初めてですか?

と、立番のお兄さんが笑顔でおしぼりを渡して来た。

アツ:スタッフ募集中の紙を見て入ったんですが…

立ち番のお兄さん:あ、じゃあこちらに座ってちょっとお待ち下さい。

待ち席は丁度卓が見える位置だった。

店長さんは卓に入っているとのこと

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アツ20歳。地元を出る。

在学中の僕が麻雀が弱かったのは、ある意味幸運だった。

2年生の冬休みまでに貯金を雀荘で使い果たし、最後の三学期はマジメに勉強しバイトで金を貯められたからだ。

僕は無事卒業要件を満たし、地元企業に内定ももらった。

卒業式後に最後の麻雀サークルの集まりを終え、地元に残るヤツはまた集まろうと笑い合って一旦解散、夕方からクラスの飲み会へ。

そこで女の子に声をかけられた。

中退

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アツ、19歳。フリー雀荘デビューする。

今思えば無謀だったと思うが、僕のフリー雀荘デビューは近所で唯一の大手チェーン店(初心者に優しいらしい)という理由で、ピンの鳴き祝儀500の店だった。

充分な金と事前に収集した情報はあったが、ビビリな僕にはやはり初めて入るフリー雀荘というのは不安になるものだった。

金曜の夕飯を食い終わってすぐ、派手な看板の雀荘が入居するビルへ。

自動ドアが開くと、「いらっしゃいませ!」と元気な挨拶

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アツ、19歳。麻雀に出会う。

夏休み直前のとある金曜の放課後、僕は通っている学院の生徒指導室に呼び出され、特徴的な話し方をする先生と話し合っていた。

「アツくゥーん、ちょっとまずいよーォこのままだとさァ」

んなこたァー知っているし、どーォでもイイのだとその時の僕は脳内でモノマネをしつつ思っていた。

成績通知表を見ると、自分でいうのも何だがなかなかの下降具合だ。

何しろ最初が良すぎた。

ボーダーが低

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アツ、18歳。〜part5〜

そしてめでたくアイちゃんと付き合い始めた僕は、そりゃもう有頂天の毎日(*≧∀≦*)

※今回は何となくデスマス調で行きます。

それからというものデートしたりイチャコラちゅっちゅしたり、冬休みに入ったらアイちゃんの白桃をモーパイしてリャンピンをツモりあげて僕のチーソウがカンチャンずっぽしからの一発放銃して無事高校卒業前に童貞卒業できたり、幸せな学生生活を送っておりました。

クラス仲が

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アツ、18歳。〜part4〜

歩くアイちゃんの脚元がピクっと強張ったように見えた。

何カンチガイしてるのコイツなんて思ってるんじゃないか。

そもそも冗談だと思われてないか。

手紙で伝えたほうがよかったのか。

人がほとんどいないこの渡り廊下が終わるまでに、答えは返ってくるんだろうか。

一歩ごとに不安だけがいや増して、もう横を歩くアイちゃんが見られない。

ていうかアイちゃんの気配が無い、あれ、ア

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アツ、18歳。〜part3〜

終わった。

水着グラビアカードがアイちゃんに見つかった絶望感が脳内でナニカを通り越して、僕は引きつった半笑いで応えた。

アツ:あぁ、好きなんだよね◯田◯子…

この後の気まずい展開を想像するには充分な数瞬が過ぎる。

カードを見つめるアイちゃんから意外な言葉が投げかけられた。

アイ:……ちょっとあたし似てない?こんなカワイくはないけどさ。

アツ:え?…あ、あぁ確かに似てるよね(

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アツ、18歳。〜part2〜

その日はアイちゃんが愛読するワンピースのコミック新刊発売日だった。

僕はリアルタイムでジャンプの連載を読んでいたが、アイちゃんがコミックス派だったのは知っていたので、僕は書店に予約して前日にゲットし、復習のために少し読んだ。

お昼にハナシを合わせるために余念はない。

もしアイちゃんがまだ買ってなかったら貸してあげれば喜んでくれるだろう。

そして昼休み、アイちゃんがいつものよ

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