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謎の改善状態に突入 -子どもの血球貪食症候群-

前回の記事から3週間が経ち、ひとまず近況の報告。
 
なぜか若干の改善傾向が見られると記載した以前の記事(始まりの日について① -子どもの血球貪食症候群-)。その後も劇的な改善ではないものの、緩やかに改善傾向を維持しつづけている。


まず改善前の状態を振り返る

※医学的に正しい解釈かはさておき、あくまで患者の関係者=素人がざっくり理解する程度のレベル感であることを、事前に断っておきます。
 
次女は、造血幹細胞移植がほぼ決まりかけていた。というか、その予定で準備が進められていた。

 次女に起こっていることを再度簡単に整理

次女は大きく、

  • 血球(赤血球、白血球、血小板)の減少

  • 肝機能の悪化

の2つの症状を抱えていて、その原因として

  • マクロファージやリンパ球などの免疫機能の異常により、血球が貪食されている

  • 同じく免疫機能の異常により、血球をつくる(造血幹)機能がうまくいっていない

という点があった。
簡単にいうと、前者が血球貪食症候群、後者が再生不良性貧血にあたる。
 
その対処法として、

  • 免疫の活動自体を抑える

  • 異常な免疫細胞が増えるのを防ぐ 

という、これまた2つのアプローチで治療を試みていた。
前者がステロイド投与、後者が化学療法=いわゆる抗がん剤治療にあたる。
 
この副作用として、

  • 感染症リスクが高まる(免疫機能が抑えられるため)

  • 眼圧が高まる(房水の排出という機能が抑えられるため。ひどくなると緑内障のリスク)

  • 骨が脆くなる 

といったことが起こるため、これらを抑えるための様々な薬が投与されている。
 
赤血球と血小板については、数値が下がると輸血を行っていたが、その頻度は大体週に1回〜2回程度。つまり、輸血によって増やした赤血球と血小板が、大体3-5日ぐらいで食べ尽くされてしまっている計算になる。 

治療の効果は、期待の半分程度という謎の現象

ステロイド投与と化学療法によって、まずは肝機能が改善された。が、血球の減少のペースはなかなか大きな改善が見られなかった。
 
…と一言であらわしたものの、これが担当医曰くかなり珍しい状況だったらしい。
 
まったく効果がないわけではない。だが、本来想定されるような反応にもならない。あるいは、反応を見ながら投与の量を調整していたものの、想定しないタイミングで数値が改善したり悪化したりする。
 
規則性を見出せないため、なかなか治療のプロセスも前に進むことができない。一方で、抗がん剤の投与は身体の負担を鑑みて、いつまでも続けるわけにはいかない。
 
結局、抗がん剤の投与を終わらせた段階では、輸血の頻度は減らすことができず、その回数は蓄積され続けていた。そのため、輸血の蓄積による臓器障害の発生などでより事態が深刻になる前に、造血幹細胞移植によって血球をつくる機能を回復させる必要があった。
 
※輸血を続けることのリスクは以前の記事(造血幹細胞移植って結局何なのか① -子どもの血球貪食症候群-)を参照してほしい。 

で、謎の回復である

造血幹細胞移植に向けて、ドナー探しが始まった。まずは親・兄弟姉妹の適合検査を行った…のだが、このタイミングで、突然改善傾向が見られはじめた。
 
改善傾向とは何かを具体的に説明すると、血球が減る量が徐々に少なくなってきた。

最初は減少量が緩やかになり、輸血の頻度が2週間に1回ぐらいになり、その後は輸血をしなくても血球の数値を維持できるようになり、その状態で1か月近くが経過しようとしている。
 
その間、赤血球の数値は正常値〜8割程度の間を行ったり来たりするようになり、血小板の数値も7割程度まで回復してその状態を維持。白血球にいたっては完全に正常な数値に回復している。
 
もちろん、ステロイドをはじめとした様々な薬は投与し続けている状態のため、これが「正常」というのは語弊がある。だが、特に大きな治療計画の変更をしたわけでもないのに、唐突に効果を出し始めるという、それはそれで謎の現象が起こっているのが、現在の状態である。 

いきなり退院が現実味を帯びている

もちろん、喜ばしい。

造血幹細胞には高いリスクがあるから、やらずに済むのならその方が望ましい。それに、この病は慢性的なものである可能性が高いから、(あまり良くない言葉選びになるが)手札を温存できるのならそれもまた望ましい。しかし、謎である。
 
何にせよ、悪い状態ではない。
現在は、点滴中心の投与から飲み薬へと移行しはじめていて、特に入院しなければできない治療がなくなれば、退院に向けた準備が始まることになる。

とはいえ、原因も規則性もつかめないままの突然の回復に退院話という状態なので、こちらとしても「退院に向かう」という現実自体に、なかなか心がついてきていない。

つくづく慢性疾患というものは、あるいは血液疾患かつ免疫疾患というものは、はたまた症例数の少ない病気というものは、よく分からないものなのだと実感する。

こうやって、予測の立たないなんだかすっきりしない状態のまま、今後も付き合っていくのだろう。

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