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珠数つなぎは、お休み。

あっと言う間に、お盆の季節、と言っても旧暦の話。
全国的には新暦の8月13~16にお墓参りをする人が多いはず。
地域によっては旧暦のお盆ということで7月にお墓参りする人もいるので、この時期は、ふらっと線香や珠数を買いに来てくれる人がいる。


うちの店にも、色んな人が珠数を買いに来る。

「急な不幸があって、すぐ使うから一番安いものを」
珠数を持っていかなきゃ!って思ってくれることが、まず有難い。

「息子が社会人になるから、一応、大人のマナーとして持たせないと」
親が言ってくれないと誰も教えてくれないから、とても有難い。

「いずれは娘に譲るのに、ちょっと良いものが欲しい」
特別な想いを込めてくれるのは嬉しい、ホント有難い。

どんな理由であれ、有難いです。

そして、外国人も買いに来る。
もちろん有難いですよ。
アジア人、欧米人、何語を喋っているのか分からない人たち…仏教徒は世界中にいるわけだから、べつに不思議はない。

不思議なのは、なぜか本式の宗派念珠を買っていくこと。
(住職を除けば、当店に来られる日本のお客さんは、ほとんどが略式念珠を購入される。)

カタコトの英語で、これが何か知っているのか?聞くと、
みんな「大丈夫!知っている‼」と答える。

「私は仏教徒だ」と。

そして、英語の分からない私に、一所懸命、仏教は素晴らしいと伝えようとしてくれる。
スマホでオリジナルの祭壇を嬉しそうに見せてくれる。
私も嬉しくなる。

私には、彼ら彼女らが仏教をどこまで理解しているのか分からない。
私だって仏教についても珠数についてでさえも、まだまだ知らないことばかりだと毎日思う。
ただ言えるのは、この人たちにとっての珠数は、お葬式の道具ではない。
その感覚が、ちょっと羨ましい。否、かなり羨ましい。


よく言われることだけれど、
日本では年の瀬が近づいてくると、クリスマスパーティーをして除夜の鐘をつき初詣に行く。そして日本人の多くが、信仰を持っていないと堂々と公言する。

「私は無宗教だ」と。

それがさも正しい在り方のように。

わかる…宗教に対するイメージが良くないから。
いいのよ…クリスマスパーティーして除夜の鐘ついて初詣に行くのは。
むしろ、それが日本の良いところだとも思っている。

ただね、そういう人たちの中で仏教徒は半数近くいるはず。
お墓参りに行くとか、家に仏壇があるとか、毎月お坊さんが来るとか、お盆には迎え火・送り火を焚くとか…。
もしかしたら、お経の一つも読めないのに仏教徒と名乗るのは…という奥ゆかしい人もいるのかもしれない。
大丈夫、私も般若心経ぜんぶ覚えていないから。
言いたいのは、その人たちは既に仏教に触れているのに、「無宗教」と言ってしまうのが(自分の仕事柄もあり)勿体ないと思ってしまう…。

その一方で、日本における仏教は、宗教というよりも文化なのかもしれないとも思う。
日常用語の中に、仏教用語はいくつもある。
寺院でお願いごとをしたり、おみくじを引いたり、御朱印巡りしたり、博物館や美術館で仏教関係の大きな展示があると行列ができたり。

それはもはや無意識下に根付いているからこそ、自分は宗教から何も影響を受けていない「無宗教」という認識になるのかもしれない。
だとしたら、それはそれで凄いな。

でもな~、もっと沢山の人に仏教に、仏教哲学に興味を持ってほしいな~面白いと思うのだけれど。
ただ理解が難しいし、説明も難しい。
専門家でなくても詳しい人はいるけれど、そういう人たちの話も難しかったりする。
仏教哲学って言うと堅苦しい感じになるし、友達に話したら面倒くさいって思われそう。
専門家だけではなく、もっと友達同士の会話でカジュアルに話せたらいいのにと思う。
このnoteでも書きたいのだけれど、そのためには私の知識と文章能力が…いつか書けたらいいな。


拙い文章を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今日は、珠数つなぎはお休み。

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