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母が仕立てた数十万円の着物の行方を私は知らない

これはいつのことだったか。
成人式は終わって、もう社会人になっていた頃だな。
帰省した時に母から「着物作っておいたから」と言われた。

意味が分からなくて、理解するのに時間がかかった覚えがある。
母が自分用に作ったのかと思いきや、それは私の着物だった。
着物欲しいなんて言ったっけ?
人生で着物を着たのなんて、成人式と大学の卒業式の時だけ。
成人式や卒業式の時ですら着物を買おうとしていた両親を説得してレンタルにしてもらったくらい、欲しいとは思わなかった。
(あ、いや、、着物は買ったんだっけな。袴はレンタルだったけど…)

なのに、なのに、なぜか母から”着物を買った”という報告。
独身でも既婚でも使えるような形(訪問着?)で、色も落ち着いたものにしたから長く使えるよーと嬉しそうだったような。
そしてお値段、数十万円。ひぇー

それ聞いて、まず両親が着物屋さんに騙されたのかと思っちゃったのよね。
なので、かなりきつめに怒ってしまった。。
その着物を買ったのが成人式でもお世話になった地元の着物屋さんで、度々営業のDMとか電話があるって聞いていたからさ。
勧誘に負けて騙されて買っちゃったのか、、と思って悲しかったんだけど、今思えばあんなにきつい言い方しなくても良かったかなと反省している。
私の着物とはいえ、両親の買物だからね。
でもさ、両親が騙されて大金を支払ったって考えたら、子どもとしてはショックだよね。
実際は騙されたわけじゃなくて、勧められはしたものの両親がちゃんと判断して購入したんだけど。

ただ、私としては着物なんて保管も着付けもできないし、何かあったときにも”着物着よう”って思うほど身近じゃないのよ。
母も私に怒られたのがショックだったのか、それ以降両親からあの着物については一切触れられたことがない。
返品するとか売るっていう発想もないだろうだから、きっと今も実家のどこかに眠っているんだろうな。

しかし母も着物なんて着る機会なかったのに、なんで私に着物をって思ったんだろうか。
今も謎だ。
なぜか急に思い出した。

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