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【洋楽】熱心なファンではない私が敢えて語るoasisとLiam Gallagherの話

突然だが、今年最も聴いたCDアルバムの話をする。
こちらである。

度々再結成の噂が浮上しては消える、oasisのフロントマンLiam Gallagherのソロ1st作。
当然ながら今年のアルバムではない。調べたら2017年の作品らしい。
彼は、これまでにソロで3枚のオリジナル作品をリリースしている。今年のサマーソニック(以降サマソニと表記)の予習のために購入した1stをきっかけに、私は他のアーティストの新譜そっちのけで彼の作品を全て揃え、万全の状態でサマソニ本番を迎えた。

大半の方は何を今更、と思うだろう。

私は高校生から今に至るまで一貫してUKロック好きを自称してきた。
だが、私が熱心なoasisのファンだったことは実は一度もない。なぜか。

出会ったきっかけが悪すぎたからだ。


私がoasisを初めて知った記念すべき作品。

それはBe Here Now である。

oasisの代表作と名高い1stや2ndではなく、なぜか実家の棚にあったのがこの3rd作だった。ただそれだけの理由で私はこのアルバムを聴いた。

好みは人による、という大前提を踏まえた上で端的に言うと、私には合わなかった。
勿論良い曲もあるのだが、何よりも一曲一曲が長すぎる。何の意図を持ってこんなに長尺なのか、私には理解できなかった。5分を超えるとつい再生時間を確認したくなる、自分のせっかちな性格も大いに関係しているとは思うが。

そんな訳で、2ndを聴くまで、私はなぜこんなにoasisが日本人に人気があるのかわからなかった。兄のNoelが3rdに対して否定的な発言をしていると知った時は、自分の感覚は間違っていないのだと、少し安心したりもした。

リアムは『ビィ・ヒア・ナウ』がオアシスのアルバムで一番好きだとコメントしている。曰く、「アレンジのしすぎで音が色んな方向に飛んでいるけど、粒ぞろいの曲が揃った良いアルバム。でもみんな、このアルバムを買ってくれ。死ぬほど余ってるんだ」と、このアルバムを好意的にコメントしている一方、ノエルは「最悪のロックン・ロール・アルバムと呼ばれてもおかしくない」と、このアルバムに対し後悔する趣旨の発言を度々しており、メンバー(事実上ノエル)が選曲をしたベスト盤「ストップ・ザ・クロックス」には、本作からの楽曲は1曲も選ばれていない。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ビィ・ヒア・ナウ

兄か弟か、と言えば、私は明らかに兄のNoel Gallagher派の立場を取っていた。
私はoasisの良さを、Noelが書く曲の良さに見出していた。なので、世間的には1stや2ndほど売れていなかったとしても、私個人としてはそれ以降の作品も結構好きだったりする。

この曲が聴きたくて、"Stop The Clocks"を持っていたのに別のベスト盤を買い直したのは私である。

あと、"Don't Believe The Truth"は、デビュー当時のオラついたギラギラしたオーラはなくとも、収録曲がどれも粒揃いで、当時良く聴いていた。

そのため、oasis解散後も、Noel Gallagher's High Flying Birdsは新作が出るたび毎回チェックしていた。ライブも、2012年のフジロックのトリ、2018年のサマソニのトリと2度観ている。
どんなに心が傷ついて血を流しても「誰もが走り続けている」…向いてない仕事で精神を擦り減らしていた自分を重ね合わせ、苗場で涙したりもした。

一方で、弟のLiam Gallagherについては、Beady Eye含め積極的に聴いたことがなかった。
繰り返すが、私がoasisを聴く時に一番重きを置いていたのは曲である。
そのため、専ら歌唱担当(途中から多少曲を手がけるようになったが)で、ロックアイコンとしてのLiamにはあまり関心が持てなかった。検索すればこれでもかと出てくるGallagher兄弟の素行の悪さを裏付けるエピソードの数々についても、私個人としては良い印象は持っていなかったので、尚更であった。


そして迎えた2023年。私は、出産以降遠ざかっていた今年のサマソニ参戦を考えるにあたり、Liam Gallagherの1stを手に取った。
こんなに良かったんだ。私はびっくりした。

共作というスタイルを、"あの" Liamが選んだのか、と考えると当初は意外な感じがしていた。
けれどもこれが大正解。まず、一曲一曲がコンパクトになった。そして、何よりも曲そのものが良い。
私がoasisに求めていたグッドメロディーが、 今作のプロデューサーチームを味方につけて復活している気がした。 Liamの歌い方も、勢いだけで押しまくっていた以前に比べ、丁寧に聴こえるのも好印象。

なお、ソロ作品3枚をしっかり聴き込んで迎えたサマソニ当日だったが、実際のセットリストはソロとoasis曲半々くらい。
折角ソロ作が良いのだからもっと演れば良いのに、と思った私は少数派なのだろう。ライブ冒頭のMorning Gloryのイントロにおける観客のあのテンションのぶち上がり方を考えるに、きっと。

日本人はホントoasis好きだよなあと、改めて再確認した今年のサマソニだった。
大半のUKロックファンがoasis再結成を待ち望んでいるのは知っているけれど、ソロのLiamもいいぞ、再結成はもう少し先でも大丈夫だぞ。
私は本気でそう思っている。

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