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今日は何もない日だった。すっかり日が沈み街灯の明かりが灯る中、事務所への帰路を歩く男二…
「またねー」 日は沈みかけ、辺りは黄昏色に包まれている。東の空はもう夜の色だ。 「またねー…
〇下総地域警備保障 正一郎 黒髪短髪、33歳、男性、大柄、元和菓子職人。 一年前に婚約者を…
「逃げろ!」 蛇に睨まれた蛙のように呆然と立ち尽くしている少年に正一郎は叫び、一目散に駆…
ここは下総。徳川家康の眠る地。 出生率右肩下がり。高齢化社会。日本にある死にゆく街の一つ…
妙な物音がしたのはビールもぬるくなった頃だった。 スーパーの惣菜と焼き鳥をビールで流し込…
「怪我はもう平気なの」 重苦しい車内の空気に耐えられず口火を切ったのは私だった。 「問題ない」 一言二言答えるだけで、ほとんど会話になっていない。確かに以前から口数は少ない方ではあったが。さっきからしきりにカーナビをいじったり、座る位置を直している。 「なぜ戻ってきた」 「え・・・」 「一度も連絡をよこさないから、もうここを忘れたと思っていた」 「(兄さんも連絡くれなかったよね)」 姉の死後、逃げるように家を飛び出して留学した。狭いコミュニティ、不毛な格付け、