【小説】29分の1の、もうひとりの私の話
ウィークデーはいつも、厳密に言うならバッテリーの保ちが悪くなる冬場を除き、ホバーボードでマンハッタンの街を走っている。ところどころで共に移住してきた昔からの顔見知りが「やあ、ソフ!」と手を振ってくれる。僕も「こんにちは、またね!」と手を振り返す。五番街にあるセレブリティの邸宅からブロンクスの少年たちがたむろする路地裏まで、自分の手で改造しペインティングした愛機に乗って駆けつけ取材をしている。
アクティブなウィークデーと打って変わり、ウィークエンドは自宅でのんびりと過ごす。昼間は書斎で機械いじり、夜はリビングルームで我らが”ヤンクス”の試合観戦に夢中だ。
夫のジョージは僕のことをとても愛してくれている。彼はニューヨーカーらしい個人主義より風変わりと言えるかもしれない。怒るとか批判するということがすこんと抜けた、穏やかな老紳士だ。ジョージが唯一嫌がるのは、僕がソファに寝っころがって原稿を読みながらチョコレートチップクッキーをかじること。「起きて! さもなくばクッキーはなし」。彼はぱんぱんと手を叩き、ソファのそばに仁王立ちする。
僕がソファに座り直すと、彼は目尻の皺を深くしてにこりと微笑み、挽きたての豆でコーヒーを淹れてくれる。僕は原稿に目を通すのを中断し、一緒にブレイクタイムをとる。
「ソフィー、最近、仕事はどう?」
僕は待ってましたとばかりに、夫であり一番の親友である彼に、とっておきの話を贈るのだ。どのメディアにも未発表の面白いネタを、彼のためにいくつもストックしている。
***
サラのことを知ったのは、バーチャルガラパーティーで顔見知りとなったジョージの友人のつてだ。僕はすぐにサラに連絡をとった。サラは僕のことを知っており、取材は快諾された。
セントラルパークが色づくある晴れた秋の日に、愛機を駆って167丁目駅のすぐ近くにある古いアパルトマンの一室を訪ねた。
「ようこそ、ソフィー」
サラは六十歳間近の、ふくよかで明るい婦人だ。白い小さな犬を抱きかかえて出迎えてくれた。
居間に通された。カントリー調の家具が狭い部屋にきっちりと収められ、あらゆるところに家族写真が映し出されている。成人した子どもや孫らしい男の子、女の子は、みんな笑顔がサラに似ている。
「おかけになって、どうぞ寛いで。少しお待ちになってね」
サラはキッチンからコーヒーと、大皿に盛ったチョコレートチップクッキーを運んで来てくれた。
「久しぶりに焼いたの。好物だって聞いて」
「ありがとう! とてもいい香りだね」
「たくさん召し上がってね。コーヒーもどうぞ。ちゃんと深煎り豆よ」
「素晴らしいリサーチ力だ。ライターにうってつけですよ」
「まあ」
サラは対面のソファに深く腰掛け、足にまとわりつく子犬を再び膝に抱き上げた。
「あなたのように自由自在に言葉を操れたら、どんなに素晴らしいことでしょう。あいにく私は書くことが苦手なの。日記は三日と続いたことがない。孫たちがくれるテキストメッセージの返信も、なかなか進まなくてね。筆まめな夫とは対照的なのよ。こうしてお話しするのは大好き」
「良かった。今日は話してもらうために来ました」
僕は断りを入れ、ICレコーダーの録音ボタンを押した。
***
最初の体験は、何の前触れもなくやってきた。二十歳の夏、夫のウィリーと出会って間もない頃。ウィリーと図書館の前にあるカフェテリアで初めて会った時から、私はこの人と結婚する、と確信していた。何人もの男の子とデートを楽しんで、でもそんな直感は初めてだったし、私の勘違いじゃないかしらなんて少しの疑いも持たなかった。だからデートのたびに、いつプロポーズされるんだろうと期待してたの。ロマンチックなところがいいわ。せっかく、一生に一度の素晴らしい出来事なんだから。だから、おしゃれにはとても気を遣ってデートしてた。友達の服まで借りてね。
ある日のドライブで、カーステレオからはジャズが流れていたわ。信号待ちの時、鼻歌まじりにウィリーは言ったの、「おととい、観覧車に乗るのを忘れていたね」って。私はショックだった。ウィリーと遊園地へ行ったことはない。ウィリーは他の女の子とデートをしたんだって思ったわ。私は恋人じゃなくただデートをするだけの女の子だったんだ、裏切られたと思い、声を上げて泣いたわ。
びっくりしたのはウィリーのほう。ベイビー、忘れちゃったの? おととい、一緒にルーノパークへ行ったよね? きみ、ホットドックのケチャップをスカートに落としちゃって、泣きそうになってたじゃない。僕が次のデートでもっと素敵なワンピースを買ってあげるって言ったの、忘れちゃったの?
信じられなかった。まるきり覚えていないんだもの。でも、言い訳にも聞こえなかったのね。ウィリーは誠実なの。クリスチャンらしく正直であるところに惹かれたのよ。あとでウィリーに聞いたら、私がデートの後に何かショックな出来事に遭って、記憶が飛んでしまったのだと思ったそうよ。
その日、家に帰ってから、クローゼットのワンピースを調べた。ウィリーの言う通り、赤いギンガムチェックのワンピースに見覚えのないシミがあった。母が繕ってくれた一番のお気に入りのワンピースよ、毎回きちんと洗濯をしてどこにもシミや綻びがないかチェックしてクローゼットにしまっていたわ。どうしても信じられなくて、親友のケイトに連絡をしてみた。ケイトはおととい、用事ができてしまった彼女の妹の代わりに一緒にミュージカルに行こうと私を誘ってくれていたの。
「今からウィリーとルーノパークに行く、観覧車でプロポーズされるのかしらってはしゃいでたじゃない」と呆れ気味に言われたわ。私はケイトとの会話さえ全く覚えていなかった。でも、スカートのシミが何よりの証拠だった。
ウィリーとケイトが嘘をついている? ありえないわ。私の脳に何か重大な異変が起きた? でも、頭は痛くないし、記憶力にも健康にも自信がある方よ。
唯一変わったことと言えば、奇妙な夢を見たことだけ。夢の中で私はアメリカではないどこかの国に住む、ひとりのアジア人女性だった。淡々とした日常の夢だった。不思議なことは何も起こらない、むしろ不思議なくらい現実感のある夢だった。
でも、それがどうしたというの?
しばらくして気付いた。
立て続けに三ヶ月、同じような夢を見た。いつも満月の晩だった。
半年が経ち、疑いが確信に変わった。夢を見たんじゃない。
前日の私の記憶がすっかり消されて、「彼女」の記憶と入れ替わっていたの。
私は思い出せることを書き溜め、晴れて婚約者となったウィリーや友人たちに調べ物を手伝ってもらった。文章を書くことが苦手だから、見たもののスケッチだったり、思い出せる単語を書いていったわ。
実はね、日本語は今でもわからない。月に一度の語学学習ではとても身につかない。挨拶と単語が少しわかるくらいよ。オハヨウゴザイマス、ハイ、リョウシュウショ、ケッサイ。それに記憶って曖昧なの。自分自身の記憶だって、昨日のことを朝から晩まで事細かに覚えているわけじゃないでしょう?
彼女の名前はハラダキヨミ。年齢は私と同じくらい。日本の首都トーキョーに住んでいる。黒く長い髪は、寝る時以外はゴムで結ってる。一度も結婚したことがないシングルで、恋人はたまにいた。今はいない。
どこか踏切のある駅のすぐ近く、手狭なフラットの二階に住んでる。喫煙者で細い紙巻き煙草をよく吸っている。会社やフラットの狭いキッチンで、腕を組み煙草を吸い、首をゆっくり左右に傾けるのが癖。趣味はわからない。本を読んでいるけどあまり好きではないみたい。
彼女は四十年間ずっと同じ会社に勤めているの。彼女が住むフラットから電車で三十分ほどで行ける、アドバンスという名前の会社よ。キヨミはお金の出入りに関する数字を何時間も見ている。経理の仕事をしているのね。とにかく黙々と仕事をする。手を抜くことも、仲間と話すこともない。
たまに彼女のデスクの近くで雑談が始まるでしょ。そうすると、彼女は手を止めて聞き、一言だけ口にするの。
ソウデスネ。
「私もそう思う」とか「あなたに同意する」という意味の日本語よ。彼女がよく口にする言葉のひとつ。この言葉を口にする時、彼女の心はまるで暖炉を取り外された真冬の居間のように凍えている。彼女は嘘を吐いてソウデスネと同意しているの。本当は自分なりの意見があるし、下品な話題をふられるくらいならそっとしておいてほしいのにね。
満月の晩が明けた朝、目覚めた時、私は私じゃない。キヨミなの。天井を見て、隣で眠る夫を見て、薄暗い寝室を見回して、徐々に私に戻る。キヨミからサラになる。
あの朝の感覚は未だに慣れることはないわ。崖と崖の間に渡された小枝の上を渡っているようなもの。だって、覚えているのよ。眠る前の冷たいシーツの感覚だとか、明日はサイトーさんとランチに行くから、朝はオベントーを作らないって考えていたことだとか。
私が目覚めたことに気付くと、ウィリーは私を抱きしめ、サラと名前を呼び、何度もキスしてくれる。
正直に言うと、あまりの落差にぞっとしているの。
私は夫にも子供にも、孫にも恵まれ、友人もいるし、楽しみだって多いわ。今は月に一回、老人ホームの慰問に行っているの、教区の仲間と一緒にね。仲間たちとおしゃべりをしながらたくさん練習をして、人生の先輩がたに心から喜んでもらえる、充実した日々だわ。神様のおかげで、困った時はお互いに助け合い、何でも相談できるいい仲間に巡り会えた。週末にはこの小さな家に愛する家族を集めて、みんなで夕食を囲むのが好きだわ。
でもキヨミはひとりぼっち。いつでも大抵ひとりなの。
私はひとつの可能性について、常に不安に感じている。
もし、今は満月の晩だけに起こる「キヨミの記憶の移植」が、毎晩起こるようになったら? 私は確かに、サラとしてここで生活している。でも、記憶が毎晩取り替えられたら? 私はサラのままでいられるのかしら。それとも、キヨミの記憶を持った私は、キヨミと言えるの?
約四十年、二十九日に一度、彼女の記憶を思い出し続けたわ。私の二十歳からの人生、一年と五ヶ月分はハラダキヨミだった。
ーーありがとう、サラ、少し休憩をしよう。
ーーICレコーダーの電池は大丈夫?
ーーこれ、最新の永久バッテリーなんですよ。そのものの発熱で発電し続ける。
ーー便利ね。
ーー反面、寒い日には熱を奪われ、旧式のバッテリーより減りが速い。冬のニューヨークでは役に立ちません。
ーーおかしなものね。こんなに便利な世の中になったのに、いくら時代を経ても変わらないものも多いわ。冬はハドソン川が凍るほど寒いまま。
ーーおかげでスミエのようなユキゲシキを見ることができます。僕はこの街に暮らして以来ずっと、真っ白な雪に覆われたセントラルパークが好きです。
ーーユキゲシキは知ってる。スミエって何かしら?
ーー墨汁という黒いインクのみで描く、東洋の絵画です。
ーーああ、美術館で見たことがあるわ。キヨミじゃなく、私自身がね。
息子のアンソニーは私の体験を元に会社を立ち上げ、大成功してる。ええ、ご存知のとおり、シャッフル・メモリーズ社。特定の日の記憶を抜き出す技術は開発中だけれど、既にセレブリティがゴージャスな記憶の一部を切り売りしたり、内戦下に暮らす少女の記憶が平和教育の教材として使われているみたいね。
アンソニーの成功を母親として誇りに思ってる。最近では、ごく普通の人たちの記憶の売買も盛んになりつつあるみたい。息子自身は、シアトルに住む八歳の女の子の記憶を十ドルで買ったそう。「とても窮屈な世界で、しかし輝きに満ち溢れている」ですって。
日本でのサービスも開始されると思うわ。きっと近いうちにキヨミも知ることになるわね。
キヨミはね、今、重い病を抱えているの。手術を二回受け、芳しい成果は得られなかった。毎日薬を何錠も飲み、痛みに耐えて生活しているわ。
キヨミは私の存在に気付いてくれるかしら? 日本でも、母親の体験を元にしたビジネスということは報道されるだろうし……。私はキヨミと記憶の交換をしていると思っている。これは直感よ。感じるの。ウィリーと結婚すると信じて実際結婚したようにね。
でも、わからないわね。もしかしたら三者以上で記憶の交換が行われているかもしれない。私がキヨミの記憶を受け取っているだけで、行き場のなくなった私の記憶は消失しているのかもしれない。
***
約一時間のインタビューを終え、自宅に戻った。
ICレコーダーをパソコンに繋ぐ。取り出したmp4データをテキスト化アプリケーションに放り込む。どんな長さのインタビューでも、およそ二分半でテキスト化してくれる。他言語対応なことは知っていたが、音楽にも対応しているのには驚いた。インタビュイーが鼻歌で歌った部分が短い楽譜に変換され、音楽配信サービスへのリンクまで張られていたことがある。優秀なアプリケーションだ。
生成されたテキストデータをデジタルペーパーに転送する。自動で校正をかけてからタッチペンで著者校正をし、原稿の出来上がりだ。
書斎の窓から夜空を見る。霞みがかった空に半月が光り輝いている。ここニューヨークが僕のホームだ。空を見上げて故郷を恋しく思うことは、もうない。
僕は腕組みした。さて、この原稿をどのメディアへ売り込もう?
***
一週間後にサラから連絡があった。昨晩記憶を交換したキヨミは入院中で、ベッドから動けず、意識が混濁していたそうだ。
次の満月が怖い。現在、キヨミは生と死の狭間にいて、次の満月まで命がもつかどうかわからない、とサラは嘆いた。
「まるで私自身の一部が死んでいくみたい。とても不安だし寂しい。でも、キヨミの方がもっと不安よね。私が彼女になるのは、月にたったの一日だけだもの。他の日は全て、彼女が彼女自身なんだから。彼女の手を握って、あなたはよく生きた、愛してると伝えたいわ」
ビデオ通話中、サラは何度か声を詰まらせ指で目尻を拭った。僕はじっと黙って聞き、サラが落ち着くのを待った。
「私が彼女の記憶を受け取ったように、彼女は私の記憶を受け取っていたのかしら。もしそうなら私の人生が、彼女の慰めになればいいと思っている。こんな考えは傲慢かもしれないけれど……」
「傲慢だとは思わないよ。だって、サラ、あなたは幸せな女性だ。誰から見てもね」
「ソフィアサン。ドウモ、アリガトウ」
サラはつたない日本語でそう言い、潤んだ青い目でまっすぐに僕を見つめた。
次の満月の晩、サラはどんな記憶を贈られるのだろう。死後の世界を体験するのか? それとも新たに別の誰かの記憶を移植されるのだろうか?
僕はスケジューラーの次の満月の日に、「死か第二の生」とメモした。
昨日付けで配信されたプレスリリースによると、シャッフル・メモリーズ社は来年からアジアでのサービスを展開すると共に、新たにサブフリクションサービスを開始するそうだ。
今までは記憶の売り手は買い手を選べなかった。来月開始するサービスでは月会費を払い会員になれば、お互いに承認し合った人同士だけで取引ができるようになり、また一回の取引ごとの価格は設定しなくてもよくなる。つまり恋人同士で会員になりお互いを取引相手にすれば、二人だけで好きなだけ記憶の交換ができるのだ。
もし特定の日、特定の時間帯の記憶を交換する技術が開発されれば、シャッフル・メモリーズ社の時価総額は現在の数十倍に跳ね上がり、何より世界を一変させるだろう。それは最強の浮気発見ツールになるし、妻の出産の立ち会いに間に合わなかった夫が、初めての赤ちゃんを目の当たりにする感動のお裾分けを、妻からしてもらえる。もしくは、我らが”ヤンクス”のバッターがホームランを打つ瞬間を、病床のファンに贈ることだってできるかもしれない。
誰かとそっくり記憶を入れ替え、半生を交換することもできるのだ。
原稿を整理していると書斎のドアがノックされ、パジャマにエプロンをつけたジョージが顔を出した。早寝早起きの彼は、用事がなければ午後八時には就寝する。現在時刻は午後八時十五分、彼にとっては珍しく夜更かしだ。
「コーヒーを淹れたよ。ブレイクタイムにしないかい?」
僕は待ってましたとばかりに椅子から立ち上がり、夫と仲良く腕を組んでリビングルームへ向かった。
ジョージが「仕事はどう?」と聞くので、サラにまつわる未発表の原稿をジョージの網膜ディスプレイに転送した。僕がチョコレートチップクッキーをかじっている間、ジョージは原稿をざっと流し読みし、「なるほど、興味深い話だ」と頷いた。
「いいタイミングで取材ができたね。ホットな話題だからどのメディアも欲しがる原稿だろう」
「うん、ありがたいことに既に希望する価格以上で交渉中なんだ。しかし面白いサービスだよね。もし特定の日、特定の時間の記憶の交換が可能になったあかつきには、僕も登録してみたいな。僕はきみが人生でたった一度怒り狂ったという学生時代の出来事の記憶を、一分間でいいから譲ってもらいたい。その事件に関しては誰に聞いても口を閉ざすし、気になって仕方がない」
「あれは若気の至りだったよ、お恥ずかしい限り。わたしは一生分の怒りをあそこでぶちまけたからね」
「きみはどんな記憶を贈られたい?」
ジョージは顎に指を当てて考え、リビングルームの窓の向こうにやさしげな灰色の目を向けた。
「遠いな……」
夜空に満月が浮かんでいた。僕が十二歳まで住んでいた故郷だ。
「愛しい私のソフィー、きみが生まれ育った街の記憶が欲しい。わたしが月を訪れることはおそらくないだろう、残念ながら、わたしが生きている間は汚染を除去できないだろうから。六分の一の重力で生まれ育ったきみの子供時代の記憶を少々、譲ってもらいたいな」
了
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本作「29分の1の、もうひとりの私の話」は『カノープスを浮かべる』第4話「摩天楼と、あるいは摩天楼がワルツを踊る話」に登場する女性ソフィーを主人公にしたものです(一人称は僕ですが、いわゆる僕っ子)。
2022年の星新一賞にこの話を単品で応募して箸にも棒にも引っかからなかったので、ここでお焚き上げです……。
山本柚葉。三十代。職業、(たまにデザインもする)事務員。
食いしん坊で、ヒューマノイドに偏見があり、自分自身の機械化率が悩みの種。
年の離れた日野さんと一緒に暮らしている。
大きな戦争が終わった「近未来」が舞台の、SF×ファンタジー連作集。
〔目次とあらすじ〕
1.生え変わりそうな目を抜く話
奇妙な夢を見た日の翌日、片目に斑点が浮き出た柚葉。同僚に眼科をすすめられ、しぶしぶ目を抜きに行く。
2.ピクニックで髪を切る話
休日、日野さんとピクニックへ。柚葉は手土産と引き換えに、日野さんが選んだ見知らぬ男性に髪を切ってもらう。
3.週四日、宗宮光太郎を借りている佐藤陽子の話
臨終猶予中の陽子は、宗宮の肉体を借りている。何ひとつ不満のない余命だったが、パートナーに衝撃的な事実を告げられる。
4.摩天楼と、あるいは摩天楼がワルツを踊る話
柚葉は日野さんとニューヨーク旅行へ。しかし旅はトラブル続き。飛行機が遅れ、タクシーが遅れ、しまいにはホテルがない!?
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