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翅色

青虫は全身が眼だった
青虫のからだには
四方八方から世界が映りこんだ

蛹になった青虫は
繭のなかでどろどろに溶け
世界の如く渾沌を極めた

蝶として覚めたときの
覚めるような翅色は
かつてみた世界の色の顕れだった

わたしは美しい
世界が美しいからと 蝶は思った
蝶は羽ばたき 鮮やかな風を熾した

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