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実家じまいは、てんてこまい!①家族会議編

2022年、年末。
世の中はまだ、コロナ渦 真っ只中。
夫と私は、順番に発熱した。(なぜかコロナは陰性だったが)
元旦には、私の両親と兄の家族と、みんなで焼き肉を食べに行く予定だったが、うちの夫婦は、参加を断念せざるを得なかった。
そんな2023年の幕開け。
まさか、こんな一年になるなんてことは、まだ知る由もない。
呑気に過ごしていた1月のある日、母から一本の電話がかかってきた。
「お父さんが、家を売るって言ってる!」

そこから、怒涛の1年は始まったのである。

※このお話は、きっとどこかに、私のように実家じまいや、高齢の親のいろんなことで、苦労している人がいるに違いないと思って書いています。
何かの参考になれば。そして、慰めや励ましになれば、と。
本当はこんな、家の恥をさらしたくはないですがね。

①   家族会議
お正月に、焼き肉新年会に参加できなかった私たち夫婦は、どっちにしろ、実家にお正月挨拶には、行こうと思っていたが。それは、父に実家を売る話を聞きにいくことがメインのイベントにかわってしまった。

父の話の内容はこんな感じ。
・年金生活になり、収入が約6割になったが、生活費は2割くらいしか減らせなかった。
・家を担保にお金を借りる「リバースモーゲージ」で、銀行からお金を借りて、毎月3万円ずつ返済してきたが、その返済が苦しくなっている。
・土地を売ってお金を作り、残っている借金を返済したい。
・土地を売った後は、実家近くに賃貸を借りて、生活するつもり。

母は、結婚してから50年、ずっとこの家に住んできたので、引越なんてしたくない、と言う。
兄夫婦も、土地を売ることには反対していた。
お金がなくても、家さえあればなんとかなるけれど、賃貸に住んでしまうと、お金が無くなったとき、住むところも無くなってしまうじゃないか。土地を売るにしても、まずは、今ある借金を全部返してからがよいのでは、ということだった。

私はというと、
両親が動けるうちに、この物であふれかえった家を自分たちで片づけてくれるなら、それはありがたいと思った。
家は老朽化が激しく、床が傾いているところ、壁や天井がはがれているところもある。
どうやら、水道もどこかで漏水しているらしいが、何度修理を頼んでもなおらず、原因がわからないまま、長年放置されていたので、水道代が毎月、3倍くらいになっているらしい。
このところ、災害も多いし、台風や地震が来たら、あぶないなあと思っていた。
家を修繕するようなお金は、もちろんない。
土地を売って、賃貸に引っ越すことに、私は賛成していた。

ただ、心配なのは、生活がやっていけるか、ということだ。
私は、両親の預金通帳をあずかり、現状の生活費がどうなっているのかを調べることにした。

フタをあけてみれば、父の借金は、リバースモーゲージだけでなく、ほかの銀行にもあったのだ。
それだけでなく、母も借金をしていた。

生活費を計算しようとしたものの、クレジットカードを何枚も使っており、いつ何に使っているのかもはっきりしない状態で、ほんとうに頭おかしくなりそうだった。
そんな状況でも、一つ一つ質問しながら紐解いていき、なんとか、月にいくら使っているのかを計算した。

このままのペースでお金を使っていたら、賃貸の暮らしは到底無理だと分かった。
土地を売ったとしても、借金や解体費用を差し引いて残ったお金を食いつぶしながら生活したとて、5年も持たないだろうということが分かった。
だからと言って、土地を売らずに、借金を返済しながら生活するのも、無理な状況だ。

私はこの時点では、この年齢になって(父77歳、母72歳)今から生活のレベルを下げるなんて、難しいだろうと思っていたが、兄はそうではなかった。
兄は「もっと節約すれば、絶対生活できるはず!」と強く言い放ったのだった。

私と夫には子どもがいないので、夫婦二人暮らしという条件は、両親と同じだ。
うちの生活費を参考に当てはめて、両親の年金収入でやっていけないだろうかと、計算してみたところ、ギリギリいけそうな結果となった。土地を売って賃貸に引っ越すにしても、売らずにそのままお金を返しながら生活するにしても、どちらにしても、かかるお金は、ほぼ同じくらいという計算になった。

相続についても、調べた。
もし、父が倒れて要介護になった場合、土地は父が亡くなるまで売れなくなってしまう。
(父が亡くなれば、母が相続して、その後土地を売ることができるようになる。配偶者が相続するなら、相続税はかからない)
父が亡くなるまでの間、母が家に一人で暮らし続けるか、もし母がどこか別のところで暮らすなら、(たとえば、私か兄の家に同居するなど)家を空き家で置いておくか、賃貸にするか(家がボロすぎてそれは無理だろう)しなければならない。
父が施設に入った場合、その費用もかかり、母の生活費も必要で、一番お金が必要な時に、土地を売ってお金を作ることもできなくなる。
生前贈与となると、贈与税がかかる。

母は「賃貸でやっていけるのかが心配」と言っていたが、「私がやれてたんだから、できるんじゃないですか」と伝えた。

私は、24歳でアパートを借りて一人暮らしを始め、そのあと9年間、一人暮らしをしていた。
私が実家を出たのは、転勤がきっかけだったけど、その頃は母とは口を聞いておらず、ほとんど家出みたいなものだった。
なので、家族は誰も私の引越に関与しておらず、会社の方々と友人たちがいろいろ助けてくれて、引っ越すことができた。
引越当日は、平日だったこともあり、祖母だけが見送ってくれた。「お嫁にいっちゃうみたい」と言って、祖母は泣いていた。
引越は2日またぎだったので、兄夫婦のアパートに一泊させてもらった。出発する朝、兄の奥さんは、大きなおにぎりを私に持たせてくれた。

親の借金は、今回が初めてではない。
私が23歳のころ、母がキャッシングを繰り返し、借金をしていた。
そのことを、父には内緒で、私にもお金を借りていた。
あまりにも頻繁になってきたので、父にそのことを話した。
その時は結局、正社員で働いていた私が、一時的に全額肩代わりをし、生活費を入れているお金から毎月差し引いて返してもらうということになった。
あの頃のことを思い出すと、今でもはらわたが煮えくりかえる。
その後5年くらい、母とは口を聞いていなかった。
私は、家にいたくなかった。
声を殺して泣いた夜は、数知れず。

私は引っ越すとき、父にも母にも、助けてもらっていないけどね。

相続のことや、母も兄夫婦も一応納得し、土地を売ることで、決まった。

続きは、また後日!

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