『よかれと思ってやったのに』 男女で違う「受け止め方」
これまで1200人の恋バナを聞いてきたという桃山商事・清田隆之さん(代表)。1200件の中には、別人の恋バナなのにすっごく似てる男の人への「モヤモヤ」があったそう。このたび出版された『よかれと思ってやったのに 男たちの「失敗学」入門』は、男性の「あるある」をテーマ分けして、「心の身だしなみにしてほしい」とまとめられたものです。
・「カギどこだっけ?」「今、何時?」とか〝小さな面倒を押しつけてくる男たち〟
・仕事の打ち上げに行っただけ、仕事の相談をしただけなのに「俺に気がある」とか〝何かと恋愛的な文脈で受け取る男たち〟
・遅刻したら開口一番に「会議が」と言い訳、上司に誤りを指摘したら「まぁまぁ」となだめられた…とか〝謝らない男たち〟
・集団になると女性蔑視になって話が通じなくなる〝男同士になるとキャラが変わる男たち〟
………いませんか!?わたしもたくさんの実体験が思い出されるよ~
ただ、読み進めていて、「うわーーーー分かる!いるいる、こういう男性!」って思うときもあれば、「あれ……これって性別にかかわらずわたしにも当てはまるよな…」と冷や汗をかくことも。
いちばん怖いのって「無自覚」なことなんだよね。わたしだって相手に対して強い立場でいるとき、気づかずに人の足を踏んでいることがあるかもしれない。気をつけないと……と居住まいを正したのでした。こわいよー
27日にあった桃山商事・清田隆之さん、マンガ「1122」作者の渡辺ペコさん(6巻が待ちきれませんよ…!)、HIBIYA COTTAGE店長の花田菜々子さんのトークイベントにも行ってきました。
以下のやりとりがすごく印象的だった~
--------------------------------
清田さん
「女性からは『自分も当てはまるかも』という感想ももらいました。でも、男性からは『男だけの話じゃなくない?うちの奥さんみたい』という反応が多いんです。男性・女性で反応が違うんです。自責的に考える女性が多いのと、他責的に考える男性が多いんですよね」
花田さん
「女性は『自分が反省する』、男性側は『相手を査定する』のが身についているんじゃないでしょうか」
清田さん
「たぶん防御反応なのかな。自分も相手から何かを指摘されたときに、ふっと防御反応が湧き起こることがあるんですよね。一瞬、認めたくなくて言い返したくなったり、茶化してしまったり……。今でも夫婦の間や友だちづきあいの中で態度が出てるんじゃないかな」
渡辺さん
「プライドなのかな。『負けてはいけない』って思いが内在化されているというのはあるのかも」
--------------------------------------
そうかーーー!この本を読んで「やばっ、気をつけよう」じゃなくて「○○もそうじゃん(チェッまたはイラッ)」って思う人もいるのか!!
清田さんが本の中で書いてるみたいに「自分を振り返るとゾッとします」と考える人ばかりじゃないんだなぁ…がっかり…。
わたしはシングルタスクとかすぐ不機嫌になるとか、「自分もそうかも…怖…」派だったので、いろんな友人たちがどう受け止めたか、感想が知りたいなぁ。
あと、確かにわたしの周りでも、「負けてはいけない病」の男性って多いなぁとも思った。議論をしていても「なんか俺の知らないこと出してきたから知ってることで返さなきゃ」みたいなこともある。
たとえば、性別によってヒールのあるパンプスを強制することに声をあげた「#KuToo」の話をしているとき、「男のスーツだってつらいよ」「なんでもかんでも性差別って言うのどうなの」「言い方を考えないと分かってもらえないよ」って言ってくる男性とか。
なぜ「へー、パンプスってそんなにしんどいんだ。知らなかった」「性別で服装規定が違うのって、そういえば変だね」じゃダメなの……? 誰もあなたのこと自体を責めてないんだけど。
もちろん『よかれと思って』に出てくる人たちは、性差だけじゃなくて、個人差がめちゃめちゃ大きいこということは分かってる。ただ「無自覚」に、とっさに自己防御(言い返したり自己正当化したり)するようになっちゃってたら怖くないですか? わたしだったら怖いよ、友達もパートナーの信頼もなくすと思うもん。
本の中で福島大の前川直哉さんが、〝ホモソーシャル〟(男の絆、男同士の連帯をさす言葉)な社会についてこんな風に指摘してます。
今のようなホモソーシャルな社会のままだと男性自身も幸せにならないよってことだと思うんですよ
ここ15年で30代後半男性の平均年収は約80万円も減り、もはや自分の親世代のようには稼げない。しかし、「男が稼がねば」というプレッシャーは強いまま
しかし、性別役割分業をはじめとする男性を苦しめている仕組み自体、実はホモソーシャルが生み出したもの
いやーーーめちゃくちゃ頷く。わたしには男性たちも生きやすそうには見えない(それでもわたしは個人的に「女性に比べて男性の方がいいな」って思うことばかりだけど)。
弱い立場の人やマイノリティが生きやすい社会は、誰にとっても生きやすくなってる社会のはず。いま自分のいる「場所」や「無自覚」を自覚するためにも、心の身だしなみの鏡を持っておくことは大事だなと思ったのでした。
桃山商事さんの↓も読んでみたいな~
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?