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映画備忘録

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たくさん見たステキな映画を忘れないための備忘録。
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#映画レビュー

スウィング・キッズ 政治思想の対立を超える"ダンス"

前半とってものめり込んで観ていたのに、いや、だからこそ、ラストで「おぉぉぉ……つ、つらい……」と真っ暗な気持ちになった映画を久しぶりに観た。でもほんとにみんなに観てほしい「スウィング・キッズ」。※なにとぞ心が元気なときにね……! 朝鮮戦争当時(1950年代)の巨済(コジェ)捕虜収容所が舞台。新任のアメリカ人所長は収容所のイメージアップのために、戦前はブロードウェイで踊っていた下士官の黒人ジャクソンに「ダンスチームをつくるように」と言い渡す。「そうしたら沖縄にいる妻のところへ

リチャード・ジュエル 3日間で英雄から容疑者に暗転した実話の映画化

映画「リチャード・ジュエル」刺さりまくった……。自分がメディアで働いているからというのもあるけど、SNSがある今、誰も人ごとではない。むしろSNSのある今だったら、1本の記事がつけた火にどんどん油が注ぎ込まれて……もっとひどいことになっていたんだろうな……とぞくっとした。 あらすじ: 1996年、アトランタ五輪開催に浮かれたアメリカ国内。アトランタのセンテニアル公園で開かれていたコンサートで、警備員として働いていたリチャード・ジュエルは、不審なリュックを見つける。呼ばれた警

ピーナッツバター・ファルコンの不思議な心地よさ

映画の途中じゃなくて、エンディングでなぜかじんわり涙がにじんだ映画「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」。なんか最近疲れてるな~って人はぜひ見てほしい。おすすめ。 あらすじ:家族に捨てられ、老人ばかりの介護施設で暮らすダウン症のザック。ビデオで何度も見たプロレスラーの学校に入るため、施設を脱走する。 仲の良かった兄を事故で亡くし、投げやりな日々を送っていた漁師・タイラーは、漁の獲物を盗んでいたことがばれ、網に火をつけ、ボートで逃走する。 偶然そのボートに隠れていたザック。

初めて映画館で観た風の谷のナウシカ 没入感が全く違った

もう、もう、最初から最後までぽろぽろ泣いてた。 新しい生活様式で、ひと席あけて座る仕様になっていてよかった…うっかり隣に人がいたら「え?なんで…?なんでこの人、こんな冒頭のシーンで鼻すすってんの…?」ってめちゃ不審に思われたであろう。レイトショーで号泣して布マスクをびしょぬれにしていたのはわたしです(すみません)。 もう数百回と観ているであろう「風の谷のナウシカ」。セリフはほとんどそらで言えるし、なんならコミック版を2セットも持っている(貸し出し用)、チケット探しまくって歌

クィア・アイSeason5で自己肯定感爆上げ…!ジョナサン大好き

あぁ……見終わってしまった…… と、いつもいつも「先が気になって観たくてしょうがない」と「大好きなこの時間が終わりませんように」がせめぎ合うのがクィア・アイの新シーズンが公開されたとき……。 ご存じの方もたくさんだと思うのですが、Netflixの「クィア・アイ」は、ジェンダークィアのファビュラスな5人(ファブ5)が、自信がなくて一歩踏み出せない人、仕事や地域に尽くして自分をいたわっていない人、事業に行き詰まってしまった人……などなどなどを、各自の得意分野と明るさでエンパワ

SNSをそっ閉じしたくなる「グレート・ハック」映画pickup5

雨ですね…。梅雨入りですね……。じめじめ感が苦手なわたしにはしんどい季節がやってきました…除湿器フル稼働でがんばります。 さて雨でどこか行く気にもなれないし(屋内の密は避けたいし)、ネトフリでも観ますか……という人へ今回オススメするのがNetflixドキュメンタリー「グレート・ハック」。 これはもう、観ると鳥肌ぞわぞわ。 英国の選挙コンサル会社「ケンブリッジ・アナリティカ」が、Facebookのデータなどを不正に流用し、2016年のアメリカ大統領選挙でのトランプ勝利、イ

再登場のボー・ピープが超かっこいいTOY STORY4 映画pickup4

すっごいたくさんの映画や本、音楽にふれていて、そのセンスをめちゃ頼りにしている会社の先輩がいる。「この映画、観るかどうか迷うな…」という時はその先輩に相談。「水野さんは好きだと思うな~」とかだいたいアドバイスは当たっていて、そのあと先輩と感想をシェアするのもめっちゃ楽しい。 TOY STORY4が日本で公開されたばっかりの頃、最近観た映画を聞いたら「TOY STORY4だよ!!観てないの?絶対観た方がいいよ!」とオススメしてくれていたのだけど、「うーん……TOY STORY

「タクシー運転手」「1987」韓国の民主化闘争 映画pickup3

今回のおすすめは韓国映画の「タクシー運転手 約束は海を越えて」と「1987、ある闘いの真実」。 またもや「考えさせられる系」映画をピックアップしてしまった……。「観てほしい!!」って映画って、わたしの場合どうしても、史実に基づいた映画based on a true storyになりがちだ…… 韓国語ペラペラな友人が「タクシー運転手→1987の順番で観て!」ってオススメしてくれたので、去年、言われた通りに観ました。それが大正解! それまで韓国映画をほとんど観たことがなかっ

「伝説」の戦争記者を描いた「プライベート・ウォー」映画pickup2

巣ごもり映画ピックアップ。次のオススメは、戦場記者のメリー・コルヴィンの生涯を映画化した「プライベート・ウォー」。 スリランカの内戦を取材中に銃撃戦に巻き込まれて左目の視力を失い、それでも眼帯をつけて戦地取材を続けた女性のストーリー。 「観てほしい!!」と言いたいところだけど、心が元気なときに観た方がいいです…。ただでさえ外に出られずに鬱々としてるのに、なんでわたしは「考えさせられる系」の映画ばかり観てしまうのか……笑 (トップ画像だけはスカッと明るくしてみた) ★以下

事故のリアルを感じるドラマ「チェルノブイリ」 巣ごもり映画pick-up1

この1カ月、映画を観る時間も大幅アップした。この期間に改めて見直した映画も含め「多くの人に観てほしい!」という作品をピックアップして残しておこうと思います。 まずトップバッターは「チェルノブイリ」。1986年4月26日に起きた旧ソビエトのチェルノブイリ原発事故をモチーフにした、HBOが製作した全5話のドラマです。 未明の実験中に起きた爆発。制御室の職員は何が起きたのか全く把握できない。爆発現場に最も近い職員たちは実験をしていたかどうかも知らされていなかった。 消防隊員たち

対岸の火事とは思えなかったパラサイト アカデミー賞うれしい!

パラサイト、アカデミー賞4冠!!おめでたいー!! 実は受賞の1週間ほど前に見にいって、鑑賞後はずーーーんっとなってたのでした。 韓国で深刻化している「格差」がテーマ。半地下でその日暮らしのキム一家と、高台の豪華な一軒家に住む経営者のパク家が登場する。キム家の長男・ギウが、パク家の家庭教師の代打を頼まれたことで、パク家の「幸せ」を少しずつ〝いただき〟ながら暮らしていく……だけど……というお話。 わたしの英会話の先生は過去に映画を学んでいたアイルランド人なのですが、「アカデ

なぜ実写版アラジンにあんなに泣けたんだろう

小さな頃、家にあったディズニー「アラジン」のビデオテープ。何度も何度もくりかえし観て、英語版も日本語版も曲はぜんぶ歌えるぐらい。トラのラジャーを従えて、父親の国王に嫌なことを嫌とハッキリ言うジャスミンがかっこよくて憧れてたのは覚えてる。 だから、実写版アラジンが公開されると知ってめちゃくちゃめちゃくちゃ嬉しかった!!!!!どんな世界観が再現されているんだろう?って。 始まってすぐ、「あ。これはわたしの知ってる『アラジン』の世界だ」ってうれしくなった。ジーニー役のウィルスミ

「ユダヤ人を救った動物園」300人を助けた夫婦 映画備忘録

「ユダヤ人を救った動物園」という映画、ご覧になったことありますか? 舞台は、1939年、第二次世界大戦下のポーランド。地理的に、ロシアとドイツの板挟みになっている小国です。 主人公は、ワルシャワで動物園を開いていたヤンとアントニーナ夫妻。献身的に動物の世話をしていたアントニーナは、ユダヤ人の友人も多かった。空爆や、ドイツ兵たちによって動物が殺され、ユダヤ人たちはゲットーへ強制連行される……。その状況を見かねたヤンは…。 動物園の存続も危うくなる中、アントニーナはヒト

がんになる前に知っておくこと

2月2日から始まるドキュメンタリー映画「がんになる前に知っておくこと」を観ました。 仕事でお世話になっているお医者さんも出ているのでオススメされていた映画で、ようやく試写に伺えました。 たまたま受けた乳がん検診で、しこりがあるとわかった俳優・ピアニストの鳴神絢香さんが、15人の専門家やサポーター、がんサバイバーに「がんって何?」という話を聞いていくもの。 鳴神さんは幸い良性の腫瘍だと分かったそうだけど、「2人に1人ががんになる」と言われているのに、どこで「正しい情報」