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SNSをそっ閉じしたくなる「グレート・ハック」映画pickup5

雨ですね…。梅雨入りですね……。じめじめ感が苦手なわたしにはしんどい季節がやってきました…除湿器フル稼働でがんばります。

さて雨でどこか行く気にもなれないし(屋内の密は避けたいし)、ネトフリでも観ますか……という人へ今回オススメするのがNetflixドキュメンタリー「グレート・ハック」。

これはもう、観ると鳥肌ぞわぞわ。

英国の選挙コンサル会社「ケンブリッジ・アナリティカ」が、Facebookのデータなどを不正に流用し、2016年のアメリカ大統領選挙でのトランプ勝利、イギリスのブレグジットで、ひとびとの投票行動をどう〝変えて〟いったか――が描かれています。

終わったあと、SNSをそっと閉じたくなる。

わたしは人類学者の磯野真穂さんと元グリー創業期のメンバーである二宮明仁さんのトークイベントで初めて知って、「観てよかった…!」と心から思った。徳力さんもnoteで超オススメしてました。

人々をつなげるために開発されたはずのプラットフォームが、プロパガンダ用にハックされ、人々の嫌悪や恐怖を刺激して、人々の分断を促進する結果になっているのは実に悲しい話だなと感じてしまいました。

ただ、元々はラジオもナチスドイツのプロパガンダに活用された歴史があり、それを人類は乗り越えて、ラジオやテレビの正しい活用法も追及してきたわけなので。

私達も、ソーシャルメディアを、プロパガンダやフェイクに活用する人たちをいかに特定し、排除し、騙されないようにリテラシーをつけていくのかという対抗策を議論し続ける必要を強く感じます。
(徳力基彦さんnote「Netflixの「グレート・ハック」は、日本のソーシャルメディアや、マーケPR関係者に是非見てほしい」より)

先日、GLOBE+に、このコンサル会社ケンブリッジ・アナリティカ(CA)の元幹部、ブリタニー・カイザーさんのインタビューが載っていました。それにも色々衝撃をうけて目がくらくら。

――CAは廃業しましたが、前回大統領選では全米の有権者のデータを集めていたそうですね。

我々が米国で持っていたデータベースは、18歳以上のほぼ全員にあたる2億4000万人分。FBは数十ある私たちのデータ提供会社の一つで、2億4000万人について1人あたり平均2000から5000のデータポイントを集めていました。

――データポイントとは何ですか?

あなた自身に関する情報のひとかけらです。あなたの名前、住所、あるいはウェブサイトでニュース記事を5分かけて読んだとか、ある写真を30秒間見たとか、もっと細かい情報も含まれます。そうして集められた小さな情報は、あなたはどんな人間で、何に興味があり、どのようにすれば説得できるかなど、正確な人間像をつくるのに役立ちます
(GLOBE+記事より)

たしかになぁ…TwitterやFacebookでシェアしている・リンクを踏んだニュース、ホームページ、クリックした広告……それがどんどん積み重なっていけば、わたしの考え方の方向性ぐらい簡単に分かりそうだ……。

さらに恐ろしかったのは、あのドキュメンタリーの当時よりも「状況が悪くなっている」ということ。ちょっと長いですが引用します。

――2016年の米大統領選の頃から、あなたはデータによる世論誘導に懸念を示していました。4年たった現状をどうみていますか?

残念ながら、私たちは当時より守られていない状態にあり、状況はさらに悪くなるでしょう
。4年前から、新しいルールや規制はあまり作られていません。今はCAのような企業が数百ある状態で、世界中に広がっています。彼らは、データ駆動によるマイクロターゲティングを理解し、大量のフェイクアカウントなどを作っています。こうしたものは、ソーシャルメディア上で人々の心情を動かすのにとても効果的です。

――状況は悪くなっていると。

はい。状況はさらに悪くなると思います。今年は新型コロナウイルスの感染の広がりで、フェイクニュースや偽情報の問題がより明確になっています。例えば、イランでは新型コロナの治療にメタノールが有効だというフェイクニュースが流れた後、何千もの人がメタノールを飲み、病院に搬送されたり亡くなったりしました。専門家によると、新型コロナについてのフェイクニュースが少なくとも毎日5万本拡散されているといいます。

――CAの予測モデルでは、人々は恐怖によっても影響を受けるといいます。新型コロナが広がり、ビッグデータはさらに世論誘導に使われるのでは。

その通りです。コロナが広がる状況下では、「心配性な人々」を特定できれば、一定の層にはとても有利にはたらきます。米大統領選の予備選期間中にコロナが広がり始めた頃、有権者を抑圧する戦略とよく似た傾向を見て、とても懸念していました。特定の州や地域で、フェイクニュースや偽情報を見た人々が、政府からの外出禁止令が出る前から、自宅にとどまるようになっていたのです。ある人が外出せずに、不在者投票もしなければ、投票行動が全くできないことを意味します。弱い立場に置かれた人の弱みにつけ込むよう、コロナ危機が悪用されていると思います

おそろしい……たしかに、「コロナを心配している人」を特定して、選挙にいかないように誘導することも可能なのかもしれない……。めちゃくちゃ恐ろしい……。

実際、このドキュメンタリー「グレート・ハック」に出てくる、アフリカ系・インド系の候補者が争うトリニダード・トバゴの選挙では、「選挙にいくことはかっこわるい」的なムーブメント(投票放棄「Do So!」)をSNSで流行らせて、アフリカ系の若者の投票率を下げることに成功。インド系候補者の勝利に貢献したのだそう……。(政治家はCAの関係を否定しているそうだが)

そういえば18日は都知事選の告示日ですね(7月5日・投開票日)
情報を見極めるのは本当に難しいけど、自分の情報が偏っていないか、何かに踊らされていないか、日々チェックしながらSNSをうまく乗りこなしたい。そして投票にはしっかりいこう!!!

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