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なんだかんだ噛んだナンってなーんだ? (淡#4)

written by 淡井蛍

みなさん、ごきげんよう。蠱惑的小悪魔的文学美少女こと淡井蛍です。

最近の私の近況ですが、おかげさまでもずく生活からは脱することができまして、人並みに外食などをするようになりました。特に、インドカレー屋さんによく通っています。初めてインドカレー屋さんに行こうと思ったのは単純に一番家から近い食べ物屋さんだったからですが、奥が深いカレー沼 (熱そう) に一度でも片足を突っ込んでしまったが最後、もう容易に抜け出すことは叶いませんでした。今では毎週日曜日にほぼ必ずインドカレー屋さんに足を運んでいます。元インドア人間の私は、今ではもう立派なインド人間なのです!(インド人間とは?)

私がよく頼むメニューは、飲み物にプレーン味のラッシー、メインのカレーにはサグカレーかマサラカレー、そして付け合わせにチーズナンです。
みなさんはラッシーという飲み物をご存知でしょうか? ダヒーというインドのヨーグルトを元に作られる白い飲み物で、クリームが入った優しい味わいは名犬ラッシーも好んで飲んだとか飲んでいないとか……。
サグカレーは、ほうれん草などの青菜を煮詰めて作る緑色のカレーです。タイのグリーンカレーを知る人はスパイシーなのかと警戒してしまうような色味をしていますが、実際は野菜の旨味が前面に押し出された親しみ深い味わいです。楽しみながら野菜をたくさん摂取できるということで、私なんかはいつもテンションがアゲアゲ↑です。名前はサグ↓なのにね。
マサラカレーは、クミン、ペッパー、カルダモン、コリアンダーなど複数のスパイスを混合して作る「マサラ」という香辛料で味付けしたカレーのことを言います。まさしく王道のカレーであり、多すぎるカレーの種類に困惑した場合でもとりあえずこれを頼んでおけば間違いないでしょう。マサラカレー無くしてインドは語れない──それくらい、マサラは重要なカレーです。これはマサラタウン無くしてポケモンを語れないようなものです。かいパンやろうもそう言っておりました。
もっちりとした触感のピザ型パンであるナンについてはみなさんご存知かと思いますが、チーズナンについてはいかがでしょうか? もし食べたことが無い方がいらっしゃればびっくりされるかと思うのですが、ナンの上にチーズを垂らしている……というわけではなくて、なんと、ナンの中にチーズがインしているのです! ONじゃなくてIN──圧倒的にOUTでOh, NO! な食べ物です。なんでも、あまりに罪深いその味わいは名犬チーズをも虜にしたとかしていないとか……。

ところで、私が近所のお店に行くときは大抵一人なのでカウンターに通されることが多いのですが、そのカウンターからよく見える位置に一台のテレビが置いてあります。流れているのはいつもインド映画で、店主の趣味なのかミュージカル風のいわゆる「ボリウッド映画」がほとんどです。ボリウッド映画が面白いのは、物語が進み美男と美女が良い感じに戯れ合ってだんだんとそういう雰囲気になってくると、突如として場面が切り替わって陽気で軽妙洒脱なダンスシーンが始まるところです。しかも、さっきまで部屋の中だったのに平気で海辺に移動したりしています。そして男女ともに必ず服を着たままで水浴びをしていて、びしょびしょになっているのです。なんでもインド映画界では露骨なラブシーンが避けられる傾向にあり、役者が濡れ鼠になることで濡れ場の代わりとしているらしいです。いや、それにしたって別に踊り出さなくても……って感じではあるのですが、それでもほぼ間違いなく彼らは踊ります。満面の笑みで、コミカルにも見えるモーションで、全身全霊で。ときにはバックダンサーまで出現し、かなりの大人数で踊り出すところなんかもすごく良いです。たとえどんなに気分が塞いでいたとて、ビビットな踊りは我々の心にびびっと来るものがあります。

カレーを口に運びながら、華麗な映像に酔い痴れる──果たしてここまで己のカーマに耽溺してしまって良いのでしょうか? このような体験がたったの800円でできてしまうのは、正直言って異常だと思っています。世の中の女子高生はタピオカとかを飲んでいる場合じゃないんじゃないでしょうか。

というわけで、次世代のトレンドがインドカレーになる可能性に賭けて、私も「新しいカレー宅配専門店」を開こうかなぁ……。お店の名前はもちろん『ニューデリー』で。