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フイ、フイ

夢みたいに美しい鳥の声。5時。声の主を探してフラリと出た。

(あ!あんた昨日の…)
木陰から逃げもせずジーッとこっちを見ていた、この鳥。しかしなんと綺麗な声で鳴くことか!
で、オーロラ姫もかくやたるその歌声はほかのオスへの
「てめどこ中だオラァ⁉️」
という意味らしく、大喧嘩していた。


鳥交る恐竜ひとの幸知らず

元、恐竜。という、天使たちの歓びの季節。恋は猫もね。


戻って調べると、イソヒヨドリの雄だった。
初めて見たが、「幸せの青い鳥」というワードが複数ヒット。
あんなオラオラ系の奴が?
まあ、旦那さんも元そうだったっけ。


勝手なイメージ。
でも昔の人びとは、動物ともっと近しく縁も絶たれていなかったから、言い伝えられている生き物たちの伝承はあながちすべてでたらめでもない。
雀たちに知らない神社への道案内を頼んだこともあったし、結婚前に、タバコしか持ってないのにある鳩に寄られていたことも。
こいつ↓。群の中で一番厚かましかった。

青いトンボが繰り返し手に止まってきたある秋の晴れた日。
落ち込み切ってトボトボ歩いていたら突然飛び出してきてめちゃめちゃにスリスリしてきた猫(今ではすっかり仲良くなれて、散歩で会うとほかの猫まで連れてくる。エサは一切あげない)。


以前書いた、タワマン住まいなのに窓から勝手に希少な蝶に入ってこられて、しょうがないからと言いつつ常時50頭前後部屋で遊ばせているおじいちゃん。
そのご老体と飲みながら笑ってた時のことを思い出してたら、ふと気づいた。
私たち、人語使ってあの子たちと話してなかった。


ベッタリされたり、しつこくされたり、人間が「よかれ」と思ってすることは彼らにとってたいてい、悉く攻撃か虐め。
フイ。
フイ。
動きは静かにゆっくり。音を消す。向こうのまねして。
フイ。
空気が止まった磁場と次元の中で、美しい眼や毛並みや翼と対峙し、すぐに逸らす。
あるいは見ずに歩きながら語りかける。
あとは向こうで察してくれる。植物もすごくうるさい。なんと可愛い、お喋りな奴らだろう。


で、みんなも私も旅をしてる。必ず死出の旅だ。
それまでは歓んで生きてればいい。
それぞれがたくましく誇り高い。
だから今日も、
フイ、フイ。
さあ帰って遊ぼ。快適な巣穴があって、しあわせ。どうかみんなもあたたかくね。

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