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【詩のようなもの6編】 5月の独り言


【5月の独り言】

信じないことでしかできない
青春の罠に一歩

気付けば5月
青い海を避けて赤い夕陽に溶けて
言葉に出来ない独り言

拗れていく想像力
夜明け前の海と風に乗る蒲公英
どこでもいい遠くへ

優しくありたい 楽しくありたい
言葉にならない光に溶けて
また一歩 信じる道へ

始まったばかりの5月に呟く独り言

【汐風の導き】

海の向こう痛みを呼ぶ
街のはずれ人の波
涙の匂い時の戯れ
詩が死に近づく

諧謔 
世迷言は太鼓の音
雷雲は厚く轟く

死んでしまえば全ておしまい
洒落を言い合う不気味な人影
終わらない夜を見せる見本市

海の向こう落ちる太陽
有効期限過ぎた人間に
何も求めないでほしい
ただそっと見送っていて

【誕生日の夜】

遡及する為に祝う誕生日
年を重ねれば重ねるほど淀む心
喉を通る果実酒の味は無機質
死神が手渡す幸運
美学に沈む

ご相伴に預かりたい上昇気流
メディアの美談に乗せられて
東京の真ん中を通る気分
糖度の低い快楽
歴史に消える

腑にくっついた詩の美しさ
待ち遠しい理想の世界より
痛みを得て咲いた花が束になり
ここにいたいと思える時間が
ほんの少し生まれる

【ゾンビの宴】

枯れた桜の木の下
遠い未来のゾンビたち
機会を伺い準備中

誰の為だったか
生きていた頃の記憶はもう遠く
残留する怨念をエネルギーにして
生きる屍たちの味方になる

必要とされたいけど
奴隷にされたいわけじゃないから
寒い夜を 寂しい夜を
互いの呻き声で作るゾンビたちの宴

四季折々 還らない夜
対岸の火事を囲い踊る
詩の中のゾンビたち

【社会の心得】

カビ臭いエアコン
足りない保存食
普段の生活に手一杯が故に
疎かな部分が身を粉にする

5月は慣れたものを壊しがち
気を張ってたことに後で気付き
風邪引いた時にこそ出る
他人との距離感

言い訳すんなと言われ育ち
自分を守る術を知らぬまま
他人を傷つける言い訳は覚えて
木を見て森を見ていなかった

誰に向けることも出来ない
消化不良の言い訳は
利益生まない5月病を誘発

日々の水やりのような気遣いが
大事な日に光差すと後で気付く
根回しと言い訳

【ギリギリの日々】

ヒリヒリな日々
千切った過去の道
またヒラヒラ降って来る

ヒリヒリな日々
夏の陽射し 人の視線
ジリジリ ジロジロ 痛い

ヒリヒリな日々
響く闇の唄 比較論に悶絶
グラグラ揺れる屋台骨

ヒリヒリする日々
止まらない罵詈雑言 溜飲
ギリギリで保つ作り笑顔

ギリギリの日々
いつまで続くかは結局自分次第