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【詩のようなもの6編】 雲煙


【雲煙】

闇夜の病室 独りきりなのに
線香の匂い 蜜の匂い 人の匂い
ドアの隙間 漏れる光と共に

日を跨ぐ瞬間 積もる灰 強い実感
寂しさを溶かす為の涙 熱い目頭

無言貫く内側 
雑音飛び交う外側

否応なしに隔たる立ち位置
心拍数の入り乱れ 稲光のように

さようなら 白い天井 黒い空
ありがとう 芽吹く緑 青い言葉

一匁くらいの哀しみ 愛しさ
窓際の埃と共に 夏盛る前の闇夜に
そっと運ばれていく

【7月の週末】

まばらに蠢く 人の影
陽が落ちるまで 

粒立つ寂寞 年々拡がる砂漠の如く
望外の喜びはほど遠く

シビアな話題 見えない轍のまま
溜まった不満 顳顬に響く金属音

鏡に映る亡霊 畏怖の念 某年
永く苦しい夜 まだあなたと僕のもの

薄暗い心の核 週末を心待ち
分厚い雲の膜 泡沫の粒立ち

嫌なもの 忘れて 逃げて
人いきれ 皆 歓楽地へ

夏の熱に溶けて 笑って
一夏の誘惑 楽しんでいる

【night summer】

キスから始まり
汗だくになりながら
ナチュラルハイに頼り
抱いて抱かれて 夏の夜

甘ったるい声を重ねて
性癖も悪癖も溶かすように
互いの心 分かち合いたい
存在意義を見出す 夏の夜

僕がいる 君がいる
みんな営んでいる 繰り返している
分かっているようで 
いまいち想像つかないまま
大人らしく嗜む 夏の夜

【放心】

夏が来る前に君を抱きたかった
痛々しい妄想癖は今日も雨 

今じゃ君を思い出すと
金縛りにあったようになる
変な声を出したくなる

君の知らない部分
少し知るたびに駆られる劣情

僕の情け無い部分
少し増えるたびに刈られる草の根

夏が終わる前に
君を信じたかった

生々しい虚言癖は明日を曇天色へ

【to do】

やりたいことより増えたよ
やりたくないこと

声高々に悪口言うより
理想をボソボソ語ってみるよ

心無いシステムに頼るより
エラー込みの人肌を信じるよ

夏の風物詩に酔いしれて
少し馬鹿になってみるよ

街に蔓延る時化た話には
もう散々辟易したから
楽しいことを探していくよ

【併願】

君に魔法かけるつもりで
甘い言葉 辛い言葉 優しい言葉 
併せて 浴びせて

こちらの願いは
ひっそり仕込んで
君の道を歩む為の
手助けになるように

君に合う素材に調味料を塗して 
君の過程 大きな糧になれるように

気の向くまま 意味を探して
熱い言葉 哀しい言葉 飾らない言葉
交わして 続いて

心が湧き立つ瞬間を
今日も明日も循環していけたら

そう願いながら
沢山の願いを併せて掛けていく


最後まで読んでくれてありがとうございました。

水宮 青

過去の詩のようなもの▽