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【詩のようなもの6編】 昼の静寂



【昼の静寂】

昼下がりのテレビ
おざなりに流れる映像の中
やりきれない想いが胸を締め付ける
あひるの水かきが水面を掻く音
そのリズムが静かに心を紐解く
孤独が色を重ねて
部屋の隅にぽつんと座る僕の頭の中
昼の静寂が水面に優しさを呼ぶ

【過ぎる君と夕暮れ】

傘を差して君を待つ夕暮れの街角
「待てば海路の日和あり」とは言うけれど
君はいつ僕の元に来るのだろう
旬の果実が熟すように
君への思いは日に日に甘く膨らんでいく

風船みたいにふわふわと浮かんで
シャンプーの香りが風に乗って
君の気配を感じた瞬間
僕の心は君のすぐ近くにあるように錯覚
近づくと君は蜃気楼
一廉の存在のまま次の曲がり角で
君は傘を持たず僕の影を跨いでいく

【目覚めの夜】

未来が欲しい
精魂尽き果てるその日まで
命の水を得て跳ねるように
繰り返す螺旋の中で震える今日
秋風が肌を撫でるとき
僕らは名前のない花びらを浸し合い
全て忘れてただ温もりに溶けた
冬の訪れが影を纏い
春の訪れを待ちわびる僕らの体温
愛は性の境を越え季節の輪廻を織り成す

夜が深まるごとに
僕の中で何かが目覚め
君の指が触れるたび
心の奥底に隠れていた自分が浮き彫り
衝動は牙をむいて
性の境界が薄れ二人の間に言葉は消える
新しい自分が君の中で息をし始めた
これは愛か欲か
それとも欲した夢の跡なのか

【遠い空の朝】

朝の光 カーテンの隙間から見える空
冷たい指で額を撫でる

ビタミンなんて飾りのように
喉を滑って胃の中で泡へ変わり
頭痛薬がじわりと効き始める頃
孤独は静かに隣に座り込む

朝の光 近く遠くいつもの青空
誰にも触れられないように
今日も人込みの間隙を縫う準備から始まる

【堕落のリズム】

「水に流す」日々の中
ワクワクの息が漏れる
欲望はいつも僕に囁く
堕落のリズム

甘い夢に手を伸ばし
ついでに背徳もつかみ
「明日は明日の風が吹く」
そんな気持ちで慣らす
堕落のリズム

禁断の果実は魅惑的
ひと口で人生変わるかも
堕落の淵で感じる刺激
心は踊り自由を煮て焼いて
「逃げるが勝ち」と思う瞬間
堕落の中 渡りに船
まるで遊びのように運命に乗り
リズムに乗せて生きて往く

【優しさの航海】

うまくいかない日々の中で
大切なものを見失わずに
優しさを忘れない君は
傷つきながらも強いんだ

泣きっ面に蜂と思う瞬間も
その涙が育む強さは
君をより魅力的な存在へ

損をしていると思っても
それが君の魅力になる
道はまだ続いているから
損をしているようでいて
“一寸の虫にも五部の魂“
その心意気が君の武器になり
自由へ向かう確度が幸運を招く

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