【詩のようなもの6編】 部屋の中から
【部屋の中から】
何も無いからさ
部屋の外が騒がしくて
辛さだけ身に染みているよ
罪悪感が涙になるのに
その先は何も無い虚無
寂しさも悔しさも
一緒に滲んで何も無い
薄い空と時計塔の汚れ
旗揺れする広告
高温多湿避ける
無駄だらけの生命体
部屋の中から見えるのは
今日までの自分が織りなす空想の一幕
【秋桜】
不便なことがどこか楽しい
大人になってからうっすら思う
雲の波 人の波
比べる必要のない仇波
秋桜が咲くころの海は
誰も知らない世界が
近いものになっている
寄せるのは波以外
子供の頃の移り変わりの速さ
何ら変わらない秋風の冷たさ
胸に残る秋桜と共に揺れたまま
今も遠く見つめたまま
【刷新推進】
幻に思えてた理想論はヒンヤリ
雨が降るにつれ時代が変わる
ポスターを刷新
流行語で推進
街の雰囲気にみんな唖然
昔のエンタメがリバイバル
新しい世代が刷新
昔の世代が推進
幻に思えてた理想論はふんわり
晴れが続くにつれ時代が変わる
【虚無と成長譚】
未来を強く求めるほど
弱くなる自分の好奇心
秋雨前線に振り回されて
付和雷同 傘の似合う影と月の下
何かを取り戻す為のセックス
失ってから夏を偲んでも
結末はバッドエンド
足掻くように開き直るように
季節の変わり目に変化を求めるも
昨日より少し変わっただろうか
物語る成長譚は実のあるものだろうか
毎日が虚無から始まり孤独が冬に向かう
【反抗期】
愛情を知ってるが故に
今の自分を大切にしたいのに
言葉に出るのは反骨精神
分かってもらえない寂しさ
根っこの部分にまだ水が届く故に
最後まで堕ちて腐りきれない馬鹿らしさ
軽い歩調の影に暇が作る重積
口を開けば災いが波を寄せ
嵩張っていく暗黙知
累日の蓄積 孤独は風邪を引かせ
見えない手の動きに翻弄
愛情を知ってるが故に
今の自分を大切にしたいのに
言葉に出るのは反骨精神
分かってほしい距離と言葉
【部屋から外へ】
腕まくりしたままのパーカー
敷きっぱなしの万年床
俺の生きた証とは言えない
しょうもなく濁った跡が
部屋の凡ゆる点になっている
大半の事は片腹痛い
最後まで走り切れず前途多難
独りよがりの限界を知るところから
いぶし銀になっていく
運転免許を取った
慣れない人付き合いを始めた
俺の心の置き所が増えた日から
去年よりマシな誕生日を迎えて
部屋の凡ゆる点が君という線になり
外に向かい始める