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川柳

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2022年3月の記事一覧

羊の可換群

文字を書く唯一無二の無数の手

回転と逆回転は巡り会う

夜に存在した灯りが温かい

球面の全部逆さにして眠る

ふあん

ファンたちの不安ふわっと飛んでった

信者がいれば儲かると人が言う

ファンたちのファンタジーにアンタがいる

魅力

雪のなか春を見ていた機械音

冗談を冗談抜きで語ってる

その珍味に魑魅魍魎も魅了され

晴れとなる魔法となえる春隣

色彩に揺れる遥かな歌謡曲

小さき幸

服を着た福が来たんだ福袋

間奏が無味乾燥だという感想

サーチしてさっき察知した幸が咲き

踊り振る舞って雨が降るの待った

晴れやかな人工的な穏やかさ

あなたの声にいつか渡った手紙

たてがみにさわる

退屈は体育座り訪ねてる

銅像も想像力をもっている

街灯のような居場所だった記憶

風の中でふいに生まれる 星明かり

ひらがなでかいたてがみがさわがしい

忘れた空

曖昧な目のはしっこに雨が降る

もういいぜ 色の呪いにノイローゼ

手に入れてからっぽを忘れてしまう

童話読む 瞳に埋めた古里で

窓の心

失った春の言葉を集めてる

日本語でしか草原を見ていない

語らない人と暮らしたひとりごと

落とし物 すいめんの樹が揺れる音