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川柳

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2021年10月の記事一覧

0だったこと

底なしの儚い夢を墓でみる

五七五七七になる前の歌

雑草が僕よりも生き生きしてる

マンホールでブラックホールにフタをする

陽だまりは命のたまり場になった

特別

スタスタとスタッカートでしたダンス

糸になるから全て忘れる身体

しわ寄せで不幸せにも不死になる

イルミネーション 星たちを眠らせて

特別感のない特別だった部屋

遠くからピアノの弦に触れる声

真夜中のような夜明けを待っている

もちもちの月

ことばとは 個とは をコトコト煮込む午後

至る所にうんざりするほど金木犀

あの街の三原色が原風景

カッコよく過去を書こうとして加工

足し算と掛け算の間の風車

うさぎの羽をもち、月へついていく

咲く光

冷めた目でスープを飲んでいる日差し

人間に人間を埋め明日へ行く

ひかりのさきに星があると信じた

無数の手 言葉で耳は塞がれる

ひとりごとみたいにそっと外にいる

白い時間

たてがみの形に手紙宿す風

モノクロでロングなのろいモノローグ

百日目の白日に白目で自白

借り物の楽しさで悲しくなれる

アリの子とアリス アリの巣へ飛び込む

転がってった

サイコロで行方不明になった空

森のなかピアノを鳴らす遭難者

感情はリズムにのって消えていく

回りながらいい言い回しで回想する

空き箱に秋空

言葉が追いつかない街で笑おうか

室内

無駄に

行される


壊れたあの秋は何色だったろう

グロテスクな水槽のそこに在った声

夜の真ん中に座っている飛蝗