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言ってみたかった、北岳に来ただけ。②

2024.10.12-13
1日目、無事にテント場、白根御池小屋に到着。寝床を確保し、小屋の晩ごはんとビールで、お腹も心もほくほくで寝袋に潜り込んだ。
前編は下記からご覧いただけます↓



DAY 2

ぱちっと目が覚める。
2:40。もう寝られない。沢山寝た。夜露でテントはしっとり、外は寒い。昨日のガスは何処へやら、すっきりと見える星々にうっとりする。少し霜も下りたみたいで木道は滑りやすい。

下山後の撤収に備えて、何となく細かい物を片付けたり、朝ごはんを食べたりして準備を整える。山の方へ目をやると、小三郎尾根方面にヘッデンの光が動いているのがもう見える。早いなぁ

暗い。怖い。

4:30出発。
二俣から八本歯のコル、吊り尾根を経て北岳に登頂し小三郎尾根から戻ってくる周回ルート。
こちらのルートは人が居ない。人気がないのかな、、とちょっと心細くなる。

大樺沢二俣。
ようやく広く開けたところに出る。空が明るんで来たとはいえ、まだ真っ暗。こんな僻地に1人で居て良いものか。。など、冷静になると、今やっていることが怖くなるので考えない。

夜明け前の特別な時間。

暗い。道に迷う。
踏み跡がゆるくて、暗くて分かりづらいけど、この道じゃない感じがひしひしと。。
後ろからヘッデンが1つ。良かった。
追いついて来られた方と、こっちじゃなさそうという会話をして、その方は先行して行かれた。

後でわかったのはどうもバットレスへ向かう道だったみたい。

明るんできてる。
目が慣れてきた。
こんな岩岩しいところを歩いていたのか。

沢は太く、荒々しい岩の間を水は音を立てて流れている。
北岳の山頂方面を眺めると明るんできた。バットレスが赤く染まるモルゲンロートがじわじわとこちらにやってくる。
手は少し悴んでいて、早くあの陽射しあたって温まりたい。と思うほど登っていても寒い。

あの陽だまりに早く入りたい。
凄い。肉眼ではもっと凄かった。

辛くてひたすら登り続ける大樺沢をようやく登り詰め八本歯のコルに到達。2時間半。長かった。
ようやくここで初めて下山の人と出会う。この先はどうですか?白根御池までいくのですが。
いやぁ、、とても長いです。沢が広がっていくので少し分かりづらいかも知れません、と今経て来た感想を伝える。

山頂まで、、もう少しの様な、まだまだの様な。
木道は霜が付いて滑りやすい。注意。

そして、コルから吊尾根までは下山の人とすれ違うことが多くなる。ときどき会話を交わしたり、来た道の様子や山頂の様子など情報交換をする楽しいひととき。

ハシゴの様な、階段の様な、急な木製のソレは霜が付いて滑りやすい。ここで滑ってしまうと絶対に大変なことになる確信を持ちながら慎重に進んでいく。

まだあそこにもハシゴが。


稜線まで上がってきて、気持ち昂る。

吊尾根が近づいてくる。北岳山荘がちょこんと、稜線に連なる中白根山、間ノ岳がキレイに見える。そして背後には富士山が雲海から顔を出している。あぁすごい所に来た、来てしまった感がじわじわと込み上げてくる。

濃厚なブルー。
富士だー とテンション上がる。

岩々しい道が続き、トラバース分岐で北岳山頂まで50分。うっ。
吊尾根に乗ると山頂までは20分。いよいよここまで来たか、と、もう行くしかない。

山頂は穏やかで、
広々して、
ほっこりする。

これまでの苦労や辛さが何だったのかと言うくらい山頂は突然現れた。大きな山頂標と三等三角点。
割と広々とした北岳山頂から眺める富士山は、雲の上にポッカリと浮いている。

幾度となく色々な山から富士山を眺めて来たけど、日本で2番目に高い場所から眺める日本一高い富士山。
富士山を眺めるのにこれ以上の場所はない。と何かで読んだ記憶が甦る。

日本の2番目に高い場所から1番高い場所を眺める。

お天気も良い。風もない。動かない雲。動画で撮っても写真のような景色を映し出している。富士山だけではなく、鳳凰三山や南アルプスの山々を明け透けに見せてくれる。

北岳に、


さ、下山。
北岳の山頂を突っ切る様に、来た道とは反対側から肩の小屋へ向けて下山をする。小太郎尾根の稜線がキレイに見える。

来ただけ。
標高3,000mで乾杯。

肩の小屋でようやく腰を下ろす。少しお土産と、もう堪らんと缶ビールに手を出してしまう。3000mで飲むビールは初めてかも知れない。あまり時間もないので持って来たパンとおにぎりをツマミに。そういえば朝ごはんを食べてから既に5時間以上が経っていた。

北岳山頂があっという間にあんなに小さく。下りはあっという間。


これから白根御池小屋でテントを回収し広河原まで下りないといけない。休憩もほどほどに切り上げ下山下山。

草すべりというのは歩いているときにはピンと来なくて、歩いている時はすっかりそんな名前のことなど忘れていたけれど、眼下に白根御池が近づいてくる。

ポツンとマイ・テント。

自分のテントも見える。我が家だ。
到着するなり小屋に吸い込まれ、缶ビールの自販機のボタンを押していた。

片付け片付け。

缶ビールを煽りながらテントの片付けとパッキング。そして無心で下山。
何も考えず頭の中でお気に入りの曲を唄いながら、転けないことだけに細心の注意を払って。。

麓は紅葉が始まって。
着いた~

14時半。予定通り広河原に到着。
バスの時間は最終16:40。ゆっくり過ごせる。ただそれだけが幸せ。バスまでは2時間近くあるので、きれいな広河原山荘で生ビールでおつかれ生です。結局おつまみと生を2杯いただき、最後の南アルプスの時間がのんびりと過ぎていく・・・

やり遂げて、じーんとしている。
おつかれ生です。

後で知ったのだけど、北アルプスの山々では冠雪があったとか、、初めての南アルプスは天候にも恵まれて、その景色はまだ頭の中を駆け巡り、残った筋肉痛は北岳の思い出と共に、まだカラダそのものにも残ってる。頑張って歩けた充実感と、今年最後となりそうな高山の達成感。北岳に来ただけではなく、いろいろなモノを思い出に残してくれました。

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