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微雨の幕が下りる部屋

南向きの窓から陽の光が差し込む休日のお昼過ぎ。ベッドの上でうつ伏せになって買ったばかりの文庫本を読んでいる。今日は丸一日、家の中でのんびり過ごすことに決めているから、身体が軟体動物のようにグニャグニャとへばりついている。

ベッドの脇に座って野球中継を観る彼の背中に向かって寝返りを打つ。部屋に響くのはテレビから流れる実況の声。音は遠くに霞んで、自分がうとうとしていることに気づいた。

画面に映るバッターは、観客の期待を背にバッターボックスに堂々と立つ。

気づけば部屋はグレーがかっていた。窓からパタパタパタと音が聞こえる。晴れていたのに急な雨だろうか。まどろみの中で聞く雨音は夢の続きのような、違う世界に迷い込んだような、不思議な心地をもたらした。部屋を囲うように薄い幕が下ろされた。降る微雨はとても優しくて、静かだ。

微雨は時期に止んで、私を少しだけ現実に引き戻した。スマホを手に取りTwitterを開くと「虹が出てるよ」とキラキラした画像が溢れ出す。

「東の空に虹が出ているみたいだよ」

彼の背中をつついて、素晴らしい外の世界を伝えてみる。私たちは顔を見合わせて微笑してから、また各々にのんびりを貪りはじめた。

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