コミュニティポリシー改訂を経て感じた「多様性」と「決まりごと」の関係性
”多様性の尊重”としてみんなが何かを強制されることなく在り方も行動も自由であることは、聞こえはいいけれど実際のところ難しい。その人の自由が他者の権利を脅かしたり、だれかを傷つける可能性もあるわけです。
だれもが心地よく存在できる場所は、自由とは真逆とも思える決まりごとや方針=ポリシーで保持されています。
今年11月、私がPRを務める実名口コミグルメサービスRetty(レッティ)のコミュニティポリシーを改訂していく中で、あらためて感じたこと。コミュニティに必要なのは「多様性」と守るべき「決まりごと」。多様性は手放しにそれのみで語ることはできません。
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ポリシーがそのコミュニティを定義する
コミュニティにはなぜポリシーが必要なのか。
ポリシーで定めるのはコミュニティがその価値を提供し続けるために必要な決まりごと。こういうスタンスが推奨されますよ、こういうことは辞めましょうねという線引きをすることで、コミュニティを定義します。
これは一番外側の輪郭を作っていく作業だと思っています。目や鼻や口まで細かく書かないけど、輪郭は決めて、それ以上外側に色は塗らないですよというような意識。
Rettyはお気に入りの飲食店や「食」でつながる仲間に出会えるコミュニティづくりをしています。Rettyというプラットフォームやそこから飛び出したオフ会に、仕事も年齢もさまざまな人が集い、何らかの役割からも解放された純粋に飲食を楽しむ場所。すべての人に楽しむ権利があります。
つまり、だれもその権利を阻害してはならない。お互いの存在を尊重するために、ポリシーがあります。
コミュニティポリシーに盛り込むこと
では、どんなポリシーが必要なのか。それはコミュニティが提供したい価値によって変わりますが、Rettyで向き合ったことは主に以下の2点です。
その言動はだれかを傷つけてはいないか
Rettyはもちろん、その他多くのコミュニティで採用されているポリシーの軸のひとつは、「だれかを傷つけるような言動をしない」ということでしょう。他者の権利を侵害しないこと。他者の尊厳を傷つける行為をしないこと。
Rettyのコミュニティポリシーでは、とくに「他者への敬意をもって接しましょう」「他者の権利、個人情報を守りましょう」という項目で規定しました。
その言動はだれかが食を楽しむことを阻害しないか
Rettyのコミュニティならではな点で、「食を楽しむことを阻害しない」という観点でのポリシーも今回の改訂を機に含めました。「衛生面に配慮しましょう」という項目です。衛生面に不安がある状態では食を楽しめない。他社のコミュニティポリシーではあまり見かけない項目だけれど、不可欠な要素です。
なお、コミュニティポリシーで規定したことの中には、Rettyのコミュニティでそんな問題起こったことがないだろうというものも多いです。それでも明文化することで輪郭の役割を果たし、コミュニティのスタンスを表明する意味があると考えています。
他社さんのコミュニティポリシーも覗いてみた
Rettyのコミュニティは食が好きという結びつきで集う場所です。共通の趣味があるわけでも、同じ職業に邁進しているわけでもありません。だからこそみんなが楽しめるように、多様であり続けられるように、決まりごとをつくることが大切だと再認識しました。
そんなわけで、改訂を終えたRettyのコミュニティポリシーはこちらです。
改訂を検討するにあたって、いろんなコミュニティポリシーを読みました。それぞれのコミュニティの輪郭が垣間見えたので、最後にいくつか紹介します。
サウナイキタイ「コミュニティガイドライン」
「水風呂の前にはかけ水をするように」と、ガイドラインをサウナのマナーになぞらえているところから胸掴まれる!「一部の人々を一方的に揶揄する表現」を具体的に取り上げて禁じているところにも、独自性を感じます。
「どんなサウナも良いところがあり、それを愛するサウナーがいます」、「どんなサウナでも運営してくれているだけで感謝」といった好みの多様性を重んじている点は、Rettyも近しい価値観を持っているのでとっても共感。
YAMAP「コミュニティポリシー」
「責任と想像力、ちょっぴりユーモアをもりこんで、公開・投稿してください」ってなんてすてきなお願いなんだろう。この一文で世界観が伝わる気がします。
「なかには旅慣れていない方たちもいらっしゃいます」として、初心者にもわかりやすく書くことを推奨する項目は「ならでは」なのかもしれません。
note「コミュニティガイドライン」
「街には、文化や雰囲気を支えるために、一定のルールも必要です」
「ときには、あなたと正反対な価値観の意見に出会い、不快に感じることがあるかもしれません」
表現の自由と多様性の尊重とここで定めるルール。相互に存在否定になりがちなものを整理して、丁寧にあってほしいかたちを説明しているところが好きです。
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私がRettyのコミュニティポリシーを改訂する仕事を経て感じた「多様性」と「決まりごと」の関係性は当たり前でありながら難しく、考え続けたいことだと思っています。もしよければ、みなさんの好きなコミュニティやそのポリシーも教えてください!