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田口ランディ『ハーモニーの幸せ』を読んで 『かそけき音の世界』

ヴェトナムのキム・シンの音楽やトゥバ共和国のホーメイに触れた著者の感想が書かれたエッセイだ。

このエッセイで知ったキム・シンの「ヴンダリーカ」というシンセサイザー演奏をユーチューブで聞いてみた。悠久を思わせるスローなメロディには西洋音楽にはない癒しがある。「境界がなく音は次の音へとグラデーションで移行する」と著者が述べているが、アジアの音楽にはお経のリズムがある。それが癒しを感じる理由なのだろう。

モンゴルのホーミーについては知っていたし、Khusugtun(フスグトゥン)の音楽をユーチューブで聞くことがあるくらい、ホーミーに興味を持っていたが、ホーメイについては初めて知った。ホーメイは「ホーミーよりも音楽性が高いような気がする」と著者は言っている。ネットで調べでみると、ホーメイは「もともと声に含まれている倍音の高音部を、声帯の力で意識的に強調させて口笛に似た音を出し、舌や口腔を微妙に動かして倍音を紡ぎだす」音楽だそうだ。

著者はキム・シンの生演奏が聞きたいと考えると、不思議な縁に吸い寄せられるように、ヴェトナムへ行き、本人と会えるようになった。
「望んでみることだ。まず望むことだ。そうすれば叶う。望まない限り何も起こらない。だったらダメもとで望んでみることだ。」と言っているが、著者のポジティブな感情と積極性が導いた結果である。

望んだことはすべて叶うとは思わないが、「望まない限り何も起こらない」のも確かなことだ。

性格的に熟慮しながらもなかなか勇気がなく行動を起こせない私からすれば、この言葉は身に沁みる。今からでも遅くない。とにかく望んで、行動を起こすこと。このエッセイは、私にそんな指針を与えてくれた。

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