『ガルシア=マルケス中短篇傑作選』より『大佐に手紙は来ない』読了
長年望みを叶えることだけを頼りに生きる夫と、それを見守り生活をやりくりする妻。夢は叶わず、恩給支給を伝える手紙はいつまで待っても来ない。
他人を利用して権力の座に付く者がいる一方で、利用されるだけされて捨てられる者もいる。それは人類の歴史で何度も繰り返されてきた、義理も人情もない世界。
耐えきれなくなった妻に対して、夫は苛立ちを抑えつつ妻を宥める。闘鶏が始まる1月20日までは45日ある。楽天的な夫と悲観的な妻はそれまで耐えられるのか? そしてもし闘鶏で負けたとしたら、この夫婦は生活を供にできるのか? 恩給支給の手紙は来るのか?(たぶん来ない)そんな疑問を残しつつ、物語は「糞食らえだ」という唐突なオチで終わる。
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