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『色を奏でる』を読んで(読書感想)

志村ふくみ(文)、井上隆雄(写真)の『色を奏でる』(ちくま文庫)を読了。
志村ふくみは染織家、紬織の重要無形文化財保持者(人間国宝)で、現在98歳。
ひとつの道を真っ直ぐに歩いている人には、他の人には決して見えないものが見えてくる。草木染めや機織りだけでなく、自然に対する思いがそのまま文章になっている。『色をいただく』という受け身の考え方から、この本の題名でもある『色を奏でる』という境地に変わった瞬間とは、いったいどんなふうだったのだろうか。理念=理想を持って生きる人の行き着く先(本人はまだ行き着いていないと言うであろうが)を読んで、自分の未熟さを思い知らされた。あとがきに書かれていた「要は、失敗なんてないのだ、そこを通るべくして通ったのだ。道程だったのだ」という言葉は、失敗だらけの過去を引きずってきた僕にとって心強い言葉だ。

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