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悪知恵だけは働く愚かな奴ら(超短編小説)

人類だけでは地球温暖化を止められないことがわかった人類は、他の生き物との共栄共存を計るべく、各生物界の生物を集めた。
それぞれの生物が立候補できる平等な選挙を行おうと生物界全体で決まったはいいものの、既得権益を失うのを恐れた人類はひとつの条件を出した。
「生物界議会の議員になるためには、それなりの知識と教養が必要である。だからテストを行い、及第点を取れなかったものは当選を無効とする」
この文章を最後に小さな文字で付け加えた。
選挙が行われ、数の多い虫類が大きく議席を伸ばし、過半数超えを果たした。人類は少ししか当選しなかった。
しかし、人類は安心していた。テストに虫類が合格するとは思えなかったからだ。
結果、虫類はすべて当選無効となった。
喜んだのも束の間、人類も及第点を取るものが一人もいなかった。

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