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【フレスコボールマガジン RALLY & PEACE】 當麻早希[1]

それぞれのフレスコボールに対する想いを語っていただく、フレスコボールマガジン「RALLY & PEACE」。第3弾は、當麻早希(とうま さき)選手です。「始めたばかりの頃はラリーも会話も続かなかった」と当時を知る仲間に言われる當麻選手が、ここまでフレスコボールを愛するようになった理由とは。

変わりたかった。

2019年2月。當麻早希は、繰り返す毎日に流されていた。

大学時代を過ごした東京から地元の奈良にUターン。いつもたくさんの仲間に囲まれていた大学時代と比べ、社会人1年目の生活は想像以上に寂しかった。

ほとんどの友人は関東在住。関西の友人ともなかなか休みが合わず、実家の家族と愛犬が支え。友人に会うたび、公私共に輝く友人達と自分を比べて落ち込む。そして月曜日からはまた、決まった毎日が始まっていく。何かが決定的に辛いわけではないが、学生時代のような、居場所が欲しかった。

そんな日々を少しでも変えるべく、当初はバスケットボールのチームを検索していた。そこでヒットしたのが、偶然にも當麻の母校の体育館が練習場所となっていたフレスコボール関西Grêmio VENTO(GVK)であった。「フレスコボール」というスポーツの名前を見るのも初めてだったし、高校までバスケ一筋でラケットスポーツに馴染みもなかったが、勇気を振り絞って連絡をとった。すべての始まりだった。

会話もラリーも続かなかった。

当初を知る仲間が「あの頃の當麻は会話もラリーも続かなかった」と揶揄するのもそのはず。當麻がフレスコボールに楽しみを見出すまでは、時間がかかった。

「人の名前を覚えるのももともと苦手で。サトシさんとタカシさんの区別も最初はつかなかったし、2ヶ月くらい、岸田さんのことを岸本さんって呼んでいました」。

今では笑い話だが、久しぶりに新しいコミュニティに属する緊張もあり、周囲の選手たちは當麻より4〜5歳年上がほとんど。出てくる言葉は「はい」と「すみません」ばかりだった。トップ選手たちに練習に付き合ってもらいながらもラリーが続かないことが申し訳なく、なかなか心を開けないでいた。

それでも、練習終わりに「来週もくる?」と多くの仲間が声をかけてくれた。もしかしたら、ここが自分の「居場所」になるかもしれない。単調に繰り返す毎日のループの中に、温かな期待がじんわりと広がっていた。

もっとうまくなりたい!

5月の大型連休、GVKの和歌山・白浜合宿に参加した當麻。ビーチでプレーするフレスコボールは格別だった。もともと海なし県、奈良県の出身。裸足で走り回れることが嬉しくて、1日中練習した。

それまで長くても半日の練習を体育館のみで行っていた當麻にとって、このビーチでの、日をまたいだ合宿は大きなきっかけになった。繰り返し、繰り返し練習していくことで、続かなかったラリーも50回、60回、100回と、どんどん続くようになっていた。アタックらしきプレーも出るようになったところを、すかさず他のメンバーが褒める。「當麻、アタック打ててるやん!!」

教わったことをどんどん吸収していく當麻に、周囲の選手たちも多くのことを教えた。アタックやディフェンスのポイントを、それぞれの選手がまとめてLINEをくれた。

楽しい。もっとうまくなりたい!!この頃から、當麻の休日はフレスコボール一色になっていた。

大船に、乗ります!

「一緒に大会に出てみる?」GVK代表である松井芳寛選手に声をかけられ、二つ返事で初めての大会に出場を決めた。それが関東での開催であることも、そしていわば全国大会である公式戦ミウラカップであることも、返事をした後に知った。

「やばい…間違えた…って思いました。まだまだ大会なんて出られるレベルじゃないと思って」。當麻は振り返る。「でも、皆さんがその大会に向かって練習していました。それなら私も、せっかく松井さんが組んでくださるので、やるからには頑張ってみようと思いました」。

やるしかない。でも、やっぱり間違えたかも…。ポジティブとネガティブを交互に感じながらひたすら練習を重ね、あっという間に大会前日はやってきた。

GVKメンバーで車に乗り合わせ、関東へ向かう道中。この日まで自分のことでいっぱいいっぱいだった。遅れて合流するペアの松井代表宛てに、明日にかける意気込みのメッセージを送ってはどうかと山下祥選手に勧められた。

思いの丈を、綴った。まだまだ不安もあること。それでも頑張りたいこと。そして初心者の自分とペアを組んでくれたことへの感謝。長い、長いLINEを送った。それに対する返信を、當麻は今も覚えている。

「大丈夫だから、大船に乗ったつもりでついてこい!」

後ほど、関東で合流した松井代表から、翌日の試合のユニフォームが渡された。松井代表の水着姿を面白おかしく模したTシャツ。一気に緊張がほぐれた。

「はい!大船に、乗ります!!」

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[2]に続きます。

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プロ野球球団職員、スポーツメーカーを経て、現在は『ひとが集う空間作り』を学ぶべくテーマパークで店舗運営をしています。ここでは私の周りにいる輝く人たちのお話を聞き、自分なりにまとめて発信していきます。

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「RALLY & PEACE」
「RALLY & PEACE」
  • 8本

FRESCOBALL MAGAZINE 「RALLY & PEACE」 なぜあの人はフレスコボールを始めたのか、どんな想いでフレスコボールをやっているのかーー。 フレスコボール関西Gremio VENTOで活躍するプレーヤーを中心に、想いを聞きました。‪

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