有限の価値という固定観念について【みんな人生の経営者!】本紹介.6
この記事で紹介する本
タイトル:みんな人生の経営者!
初版発行:2024年1月20日
著者(監修者):岩男俊兵
発行所:講談社
【みんな人生の経営者!】の概略
この本では経営とは何かを以下のように定義している。
不幸だと感じてしまうような種は経営という概念を持たず、
一方的な搾取や押し付けによって自分と他者の関係性、
共同体としてのあり方に揺らぎを生むためだと考え。
著者の実際の体験や知っている事例を元にした家庭や恋愛、仕事など、
15のお題について経営という概念の不在による不幸の種が生まれる様を、
物語風にテンポよく描いている。
実際にそのような不幸な状況等に直面してしまった時に、
経営という概念をどういうふうに思考に取り入れればいいのか、
どのような考え方をすればうまく乗り越えられるのか。
ヒントやきっかけも示されています。
上記の経営という概念を分かりやすい表現で示しているので読みやすく、
はじめにとおわりに以外はそれぞれのお題が独立している。
著者の岩尾さんも読みたいところから読むのもいいと書かれていて、
そのため自分の目的にあった箇所から読み始め内容を理解することも可能。
実際に現状抱えている問題の解決の糸口などを求めてる場合も、
該当する箇所から入れるのできっかけを掴みやすい本だと思います。
【みんな人生の経営者!】から学んだこと
個人的にこの本で一番印象に残ったのは以下の一説。
概要で引用したように経営とは自分と他者、共同体全体が、
価値の創造を通じて幸せになる方法を模索すること。
ですが、現代人の多くはそういう共同体意識が小さい、
個人の利益を追求することに比重を置きすぎて、
逆に自他共に不幸にするような言動を繰り返してしまう。
そのような側面があるとお話しされていて個人的にもそのように思う、
そしてその理由の根幹には価値は有限であるという固定観念、
自分達で価値を生み出していく意識がないからだと考えてるわけです。
これは全くその通りだと思うし特に日本の停滞とそれによる閉塞感は、
有限の価値という固定観念が大きな要因の1つと考えられると思う。
現代の日本人は全体的に先人達がより良い未来像を描き、
それを実現するために心血を注いで構築してきた社会。
そこから生まれる利益のおこぼれをもらっているだけ、
過去の遺産を食い潰しているだけで終わってしまっている。
自分達で何かを生み出そう、より良い何かを目指そうという意欲、
この本の言葉を借りるなら価値創造という究極の目的を忘れている。
それ故に今ある価値しかない、だから価値は有限である、
そんな固定観念から抜け出せず少しでも自分たちの方に、
有限の価値を引き寄せようとしてしまうのではないか。
そんな傾向が全体的にあるのではないかと思うのです。
だけど実際には価値は有限でない。
この世界のあらゆるものは形を変えて循環しているため、
何かが動いている限り世界の力とは無限であると考える。
ただ人間には認識も活用もできない力の形があるだけで、
だけど人間は認識を広げ活用方法を見出していくことで、
現代のような高度な文明を築くに至った。
例えば電気もその1つ。
過去、電気は畏怖の対象で雷は神の力だと考えられるような時代もあった、
それはどうしようもない猛威であり制御できずただ崇めるものであった。
だけど観察、考察し知識や論理を紡ぎ次世代に継承し歴史を重ね、
現代において社会を回すための大きな力として活用できる力の1つとなる。
元々世界にあった電気という力を認識、理解し活用方法を見出した、
価値を創造し皆が恩恵を受けることができるようになったわけです。
物理法則ではなく人間の精神(思考)法則とでも呼べるものにしても、
例えばエジソン博士のように失敗は成功の過程であると認識するか、
それとも失敗を終わりでありどうしようもないものと認識するか。
前者は言い換えれば未来というより広い概念から生まれる認識、
仮に自分が死んでもその経験が後世に残ることまで考えるなら、
人間の主観にとっては無限と思えるほどの精神的エネルギー。
自分の限りある人生を精神的には常に最高の状態に維持してくれる、
やる気などのエネルギーへと変わってくれるでしょう。
ですが後者、その時点で終わりと考えてしまう認識であっては、
そこでエネルギーの流れ、動きも途切れてしまう。
経験的にも精神的エネルギーとしても次に活かされるものはない、
狭い認識の中で停滞してしまうことになるでしょう。
有限であるから奪い合いが起こる、有限であるから尽きれば停滞する、
価値の創造を忘れ今ある価値の認識から抜け出せないのであれば、
遅かれ早かれ個人としても大小様々な共同体としても終わりが来る。
個人の終わり、つまりはそれがどうしようもないという不幸観であり、
共同体としての終わりはそこに所属する者達の幸せを維持できない状態、
時にはあり方それ自体が消えてなくなるようなこともある。
それが自滅という形か外圧という形で来るのかはわからない、
ですがどちらにせよ有限の価値を奪い合うという意識を持つ限り、
徐々にそういう方向へと進んでしまうことは確かであるように思う。
『みんな人生の経営者!』の著者である岩尾さんはそれを端的に、
経営という概念の欠如として示したのではないかと思う、
そしてそれを誰もがわかりやすいような形で表現しようと。
物語風に、長くなり過ぎず自身の経験等と照らし合わせて、
直感的に理解できるよう表現した。
そのような印象を個人的には受けましたし、
改めて有限という固定観念、価値創造の欠如について、
考え直させてくれるきっかけを得られた良書でした。
自分事ばかりになり経営を忘れてしまいがちになる時もありますから、
自分を戒め価値を創造していくためにできることを考えていきたいと思う。
そんな小難しいことを考えずともとりあえず自分と自他、
認識できる範囲で関わり合う皆が幸せになるには、
どのような考え方をするのが大事なのか。
ヒントなどを得たいと考えているのであれば、
ぜひ1度読んでみてほしい本です。
では、今回はここまでです。
ありがとうございました。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?