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駅で空港で街角で。ピアノと人が紡ぐストーリー。

深夜2時をまわり、寝る準備を進めていると、テレビからピアノの美しい音色が聞こえてきた。

NHKの「駅ピアノ・空港ピアノ・街角ピアノ」

旦那がいつもより無口になる番組だ。

タイトルの通り、世界各国の駅や空港や街角に設置されたピアノを通りすがりの人が演奏し、ピアノに込めた思いをカメラとナレーションで見つめるドキュメンタリー。

私は知らなかったのだけど、BSでは頻繁に放送しているそうで、その日はたまたま地デジ放送されていた。

物語は、俯瞰で捉えたカメラの映像から始まる。

吸い寄せられるようにピアノにやって来る人が、おもむろに椅子に座って、ピアノを弾き始めるだけなのだが、これがなかなか面白い。

ピアノを弾く人は、ミュージシャンを目指す少年、ピアニストを諦めた学校教師、友人の結婚式に参列した男性、音楽院で声楽を学ぶ学生、赤ちゃんを抱えた元ピアノ教師、サントラ好きの音楽プロデューサー、ピアノが趣味の政治コンサルタントなどなど。

なかには空港の雰囲気を即興で演奏するプロのピアニストや、10分前に駅で知り合ったばかりの人と、「一曲やろう」のノリで歌声に乗せてピアノを披露する人もいる。

内戦が続く故郷を思い、民族音楽を弾くスーダン人。この場所で将来フィアンセになる人と出会えた男性。

さまざまな境遇の人が、さまざまな音楽に思いを馳せる。

音楽は記憶に残る。こっちまで切なさを感じるのは、きっと思いが伝わるからだろう。

そしてピアノを「感情を表現する手段」という人、「自分の身体の一部」「国境を越えるもの」と称する人もいた。

気づいたら深夜4時。もう完全に見入ってしまっていた。

「カノン」も聞けたし、フォレストガンプのテーマ曲も聞けた。

たまにはこんな夜も悪くないな。

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