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#87 そしてこのおちゃめさんだけが残った‥‥


ごめんなさい‥‥これが朝起きたらキッチンにいたのです。

『ぶっ!』と吹き出し、息子よぉ~と思ったが、後から入ってきた彼は「今起きたんだから僕やってないでしょう」と言う。昨日の投稿で息子が家を出ていく朝のこと。

あ、そうですね、もう一人いましたわ‥‥

おちゃめなあの方が。 出会ってから30年一緒に居る夫です。古夫 (ふるおっと)とは言わないのか? 古女房なんて言うけど、夫の場合はなんて言うんだろ。

今日はこんな音楽を添付いたします。

日本で結婚した私たち、教会の式の後レストランを借り切ってパーティーをしました。その頃はまだカセットテープで作ったBGM。その中に私が自分で入れてた曲のひとつでした。

Just the two of us 

結婚直後に聴いた時は、『世界は二人だけのもの』くらいの意味だったねきっと(笑える‥‥)

今なら、『たった二人っきり』(なに、この悲壮感‥‥)あの時聴いた気持ちとはまるで違う、ともに歩いた重さがある。

最後の子どもが巣立った所で離れていた長男が帰ってきたことで、ペンディングになっていたけれど、ようやく長男も新たな職に就き出ていった。
この家でふたりだけになったのは初めてのことである。

息子を送った日の午後、バイクに乗って帰りにスーパーで買い物でもしてくるか、となった。「マスク持ったかい?」なんて言われながらバイクギアに身を包む。

スーパーの駐車場で、「あ、マスク忘れた!」と私。

『なんでやねん!』自分でツッコㇺ。夫は「ボク言ったよね?」とは言ったけど、私ならやったであろうグチグチを一切言わなかった。

「ん、別に買い物しなくってもいいし帰ろっか」と夫が言ったところで、入れたままになってたマスクをポケットから発見して事なきを得る。

‥‥夫、なんか寛容だったぞ。


夜は夜で、一日半かけて酵母発酵させていた大きなパンを2個オーブンに入れて2階でnoteを書いていた。30分後にタイマーが鳴ったらル・クルーゼの重たい蓋を一旦取ってあと10分で出来上がる。

‥‥はずだった。30分くらい憶えていられるぞ、というのは物事をすぐ忘れる自分への過信だった。

せめて夫に自分のしていることをアナウンスしていればよかったのだが、静かで平和な家の中で、時は過ぎていった。2階の寝室にいる夫がなんか香ばしいような不思議な匂いがするという。言われても「なんだろね」とすかさず答えた2時間後の自分が間抜けすぎる。

鉄の鍋のなかでカチンコチンになったパンは、鍋は焦がさず自滅しただけで大事には至らなかった。でも、費やした手間暇とか吟味して買ったオーガニックの粉とか、230℃で2時間も無駄にした高熱費とか環境への罪悪感、

どれをとっても自分への情けなさが止まらない。

この灼熱の鍋2個をいち早く庭に出してくれた夫は、私の馬鹿さ加減を責めることもなく穏やかでいてくれた。


ふたりだけになってしまった私たちの周りにはちょっとの努力という目に見えないベールがかかっているのかもしれない。


夫は幼児体質なので、空腹の時と眠い時に不機嫌になるのを除けば、シンプルにポジティヴでおちゃめだ。

Just the two of us 

たったふたりの生活がこれから始まる。




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