マガジンのカバー画像

琴線に触れた言葉

34
とっても個人的に読んでグッと来た、時には泣いた、そんな大切にしておきたい投稿を集めました。
運営しているクリエイター

#note

風が吹いていた

風が吹いていた

長く長く続く一本道は、先が見えない。

来る時には途方もなく感じた距離は、

帰りには驚くほどに大したことなく感じる。

経験とは、人の感覚を簡単に変える。

3月30日の私と、4月1日の私でさえこうも違う。

4月1日。三番目の息子の引っ越しを終えて、私達夫婦はその日に自宅への帰路につくことにしていた。

朝、3人で近所で美味しいと評判のパンと

甘いカフェオレを飲んだ。

ただしくは、息子はパ

もっとみる
寂しさの見方

寂しさの見方

4月になった。

いつもこの時期になると思い出すことがある。
かれこれ15年前になる。

私の息子は年子で二人。

長男が進学で家を出た翌年には
やはり進学で出て行く二男を見送った。

灯りのともらない家に帰るのは辛いかな?
と、想像したりしていたが、
仕事でクタクタになって帰ることもあり、
毎日、まったく淡々としていた。

彼らの夕食のことを考えなくていい分、
むしろ、どこか気楽さもあった。

もっとみる